Q:セールスライターが書くコピーで、最も難しいコピーは次のうちどちらでしょうか?
- A:ウェブセールスコピー
- B:魅力的な自己紹介
Aの「ウェブセールスコピー」は、一般的に「セールスレター」とよばれるロングフォームのコピーです。
一方、Bの「魅力的な自己紹介」は、社長の想いや信念、理念や夢などを魅力的に綴る自己紹介のようなコピーです?
この2つのコピー、あなたは、どちらが最も難しいと思いましたか?
もしくは、難しいと感じていますか?
人ぞれぞれ得手不得手があったり、コピーそのものの”質”が違うので、一概にどちらが難しいとは言えないかもしれません。ですが、私が常日頃感じるのは、Bの方が
圧倒的に難しい
ということです。
つい先日も「魅力的な自己紹介」の難しさを痛烈に感じる事があったんです。というのも、「魅力的な自己紹介」を”魅力的”に書くには、ライティングスキル以外に必要なスキルの方がとても重要になってくるからです。
というよりも、魅力的な自己紹介を書くのに、ライティングスキルはほとんど”いらない”とさえ、私は感じています。つまり、魅力的な自己紹介を魅力的に書くためのスキルが、”まだまだ不足している”事に気づいたんですね。
そこで今回は、なぜ私が「魅力的な自己紹介」はコピーの中で最も難しいと感じるのか?そして、クライアントの自己紹介を魅力的に書くためには、ライティングスキル以外に、どんなスキルが必要となってくるのか?
その辺りのことを、私の先日の経験を踏まえながら、お伝えしていこうと思います。もしあなたが、クライアントの自己紹介を魅力的に書けずに悩んでいるのなら、今回の記事はきっと参考になると思いますよ!
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魅力的な自己紹介とは?
まずはじめに、魅力的な自己紹介がどういったコピーなのかわからない人もいると思うので、簡単に説明したいと思います。
魅力的な自己紹介とは、このザセールスライターで言うと
これが魅力的な自己紹介に該当します。このコピーを書いたのは、確か今年の始めか去年の暮れ頃だったと記憶していますが、改めて読み返してみると、まだまだ魅力的に書ききれていませんね。
まぁ、このコピーの出来は一旦置いておいて(笑)
大企業のホームページにある社長挨拶のような、無味無臭の自己紹介ではなく、対象者の想い・信念・理念・夢といった人生そのものを、表面的な事柄ではなく、そこに至った感情を言語化しながら、自己紹介という形で書いたものが、魅力的な自己紹介というわけです。
つまり、魅力的な自己紹介を魅力的に書くためには
表面的な事柄ではなく、その事柄に至った感情
これをどこまで対象者からリサーチ出来るかで良し悪しが決まると言っても過言ではないないのです。
魅力的な自己紹介を書くために必要な3つのスキル
「魅力的な自己紹介」を魅力的に書くためには、ライティングスキル以外に3つのスキルが必要だと私は思っています。では次に、その3つのスキルについてみていきたいと思います。まず1つ目。
インタビュースキル
ウェブセールスコピーを書くときに、リサーチが絶対必要なように、魅力的な自己紹介を書くときには、その対象者へのインタビューが絶対必要となってきます。
なぜなら、先ほども言いましたが、「魅力的な自己紹介」のコピーの中で使う材料は、対象者の内面にしかないからです。ネットや本をいくら調べても材料は一向に見つかりません。つまり、魅力的な自己紹介を書くためには、対象者へのインタビューをすることでしか、リサーチができないということなんです。
ですから、インタビュースキルの力量によって、揃うコピーの材料の質が圧倒的に変わってきてしまうわけです。そして、一言でインタビューと言っても、これがメチャクチャ難しい。
例えばですが、自己紹介を書くためのインタビューでは、大きな枠として、以下の2点について聞き出したいはずです。
- なぜ、その仕事を始めたのか?
- なぜ、そのこだわりを持つようになったのか?
この2点さえ揃えば、変な話、自己紹介を書くことはできますから、こうした事を聞いていくと思います。でも、インタビューを経験した事がある方なら分かると思いますが、この質問をこのまま聞いても、ビックリするくらい表面的な事柄しか引き出す事ができないんですね。
なぜなら、先ほどの質問も一見「感情」を聞き出すためにしているように見えますが、実のところ表面的な事柄しか聞いていないからです。
でも私たちが知りたいのは、そうではなく
- その仕事を始めた事柄に至った感情
- そのこだわりを持つようになった事柄に至った感情
これが知りたいはずですよね。であるならなば、質問の仕方を変える必要がありますし、聞く順番や相槌も工夫する必要があるでしょう。でも、そんなのは表面的なテクニックに過ぎません。
確かに、テクニックがあれば、より多くの事を引き出す事はできるはずです。でも、テクニックだけで会話がうまい人って、最も感情をさらけ出してもらえないと思うんです。
だから、相手の感情を引き出したいのなら、まずは、こちらがしっかりと心を開き、相手が感情をさらけ出しやすいよう、こちらも感情で質問をし、感情で聴いていく。そうした心の準備をしておく必要があると私は思うんです。
すごい、フワッとした話になってしまいましたが、結局何が言いたいかというと、「相手の感情を引き出したいのなら、こちらも感情でぶつかろうよ」という事です。
でも、これがメチャクチャ難しいんですよね。頭でわかってもすぐに出来るものじゃないです。
感情を引き出せるインタビュースキルを身につけるのは、それこそたくさんインタビューを経験し、時には自分もインタビューを受けたり、場数がどうしても必要になってきます。コピーのスキル同様、一朝一夕で身につくものではないわけです。
とはいえ、そうしたスキルが身につくまで、魅力的な自己紹介を書かないわけにもいきません。じゃあどうするか?
その方法が・・・
信頼関係構築スキル
インタビューを難しくさせている最大の理由は
短い時間軸の中で信頼関係を築き感情を引き出す必要があるから
だと私は思っています。であるならば、時間軸を長く取れば信頼関係を構築しやすく、結果、相手の感情を無理せず引き出せるようになると思っています。実際、私自身、意図的ではありませんが、この方法でクライアントの感情を引き出す事ができていたりします。
例えば、つい先日、工務店の社長と、ホームページのリニューアルについての打ち合わせをしている時にこんなエピソードを話してくれました。
【前提条件】
工務店の社長は大工の棟梁だった父親に憧れて大工になる決意をして、高校卒業後、父親の紹介で地域で1,2を争う腕を持った大工に弟子入りしている。私
「お父さんの記憶で一番覚えている事ってなんですか?」社長
「うちの親父はさ、酒と女遊びがしたくて大工の棟梁やってたんだよ。金入るとその金持って熱海に1ヶ月とか平気で行っちゃんだよ。そこで芸者呼んで酒と女に散々金使って、無くなったら帰ってくる。笑っちゃうだろ(笑)だから、親父の事で一番記憶に残っているのは、その事で、よくお袋が泣いていた事だな。」社長
「でもよ、棟梁として働いている時の親父はかっこよかったんだな。当時は高度成長の真っ只中だからさ、親父の会社も羽振りがよくて、職人が30~40人くらいいてよ。当時は、棟梁とか社長が、抱えている職人に飯食わしてやるみたいな文化もあってさ。家の隣にある資材置き場で、お袋がでっけー鍋で飯作ってよ。職人全員で飯食って、その中心に親父がいてさ。職人みんなが、〇〇さん〇〇さんって親父の事慕っててさ。家ではあんなに体たらくなのにな(笑)」社長
「そんな豪快な親父だったからよ、死んだ時一銭も残ってなくてビックリしたよ(笑)」
こんな感じのエピソードを話してくれたんですね。
つまり、もし事柄だけしか引き出せていなければ、大工になった理由として
「大工の棟梁として、真剣に家づくりに向き合う父親に憧れて大工になる事を決意しました。」
こうした平たい事しかかけないわけです。でも、社長が話してくれたエピソードをそのまま使ったとしたら・・・もうそれだけで最高に魅力的になりますよね。
もし、インタビュースキルが身についていないとしたら、短い時間軸でここまでのエピソードを話してもらうのは、おそらく無理だと思うんですよね。私の場合、この社長とはもう1年2ヶ月の付き合いになりますが、その長い時間軸の間、ずっと信頼関係の構築を怠らず、やっとこうした話をしてもらえたわけです。
でも、逆を言えば、1年以上関わって、大工になった理由の深い部分を初めて引き出せたので、冒頭でお伝えした、「まだまだ未熟」という事を感じたわけです。ただ、時間はかかりますが、信頼関係の構築に務める事で、自然とこうした事を話してもらえる関係性ができていくので、インタビュースキルが未熟なうちや、インタビュー自体が不得意な場合は、こうしたやり方もあるんです。
そして3つ目の理由が・・・
ライティングスキル
ここまでお伝えした2つのスキルから、勘のいい人なら気づいているかと思いますが、魅力的な自己紹介を書くのに、私たちセールスライターが認識している「ライティングスキル」はほとんど必要ない事が分かると思います。
なぜなら、先ほどの工務店の社長が話してくれた内容のように、そのエピソードをそのままコピーに反映していくからです。
つまり、魅力的な自己紹介に必要なライティングスキルは、編集的なライティングスキルという事なんですね。口語処理だったり、より興味を引き付けるためのサブヘッドのつけ方だったり、そうしたスキルが必要になってくるわけです。
なので、インタビューが得意な人なら、インタビューで魅力的かつ感情的なエピソードを引き出し、インタビューが不得意なら、時間はかかってしまいますが、少しずつ信頼関係を構築し、自然と相手が喋ってくれる関係を築き、引き出していく。
そして、出揃った材料を編集していく。
こうしていく事で、魅力的な自己紹介を魅力的に書く事ができると私は思っています。
魅力的な自己紹介の代表的な論理展開
とはいえ、魅力的な自己紹介にも、1つ欠点があって、スワイプが存在しないんですね。もしかしたらあるかもしれませんが、私は知りません。そこで、この論理展開で書けば
まず間違いない
と私が思っている自己紹介用の論理展開をシェアしたいと思います。
- その仕事をやろうと思った理由やきっかけ
- その仕事を始めた当初の苦しかった事
- 最初の理由で述べた信念や想いを曲げずにいたら、徐々にお客さんからも信頼されるようになる
- でも、それだけではダメだと気づく出来事が起きる
- それを実現するためにした新しい挑戦の様子
- それによって、より多くのお客さんが喜んでくれるようになった
- こうした経験から、今の想いになっている
- もし、〇〇で悩んでいるのなら私に声を書けてください。
物凄いざっくりしていますが、こんな感じの論理展開で書いて行けば、大きく外す事はありません。ただ、先ほども言いましたが、中身のエピソードをどれだけ魅力的にするかが論理展開以上に重要なので、そこは気をつけてくださいね。
魅力的な自己紹介で守らなければいけないたった1つのルール
クライアントの自己紹介を書いている時に、どうしてもやりがちなのが
話を大きく盛ってしまう
という事です。私もこれは過去経験があり、クライアントから結構怒られた事があります。もちろん、全くの作り話を書くよりかはよっぽどマシなのですが、それでも、事実以上の事を書いても、何もいい事はありません。盛った話はいつか誰かに見抜かれますので、後々しっぺ返しを食らうのは、他の誰でもない「クライアント」になります。
だから、クライアントの事を思うのであれば、絶対に話を大きく盛らずに、事実を事実として書けるようにしたいものです。
※これは魅力的な自己紹介に限らず、普通のセールスコピーでも同じです
まとめ
いかがでしたか?今回は、私が最も難易度が高いと思っているコピーである「魅力的な自己紹介」についての話をお伝えしました。魅力的な自己紹介を本当に魅力的に書く事ができれば、ほとんどのケースでセールスレター以上の効果をクライアントにもたらしてくれると私は思っています。
なぜなら、ほとんどの一般的なビジネスは、商品やサービスで差別化ができなくなっているからです。扱っている商品もほとんど同じ。価格帯もほとんど同じ。そんな業界だらけです。だから、競争激化の業界になればなるほど、ベネフィットなどで差別化していくような
何を売っているか?
よりも、どんな想いでその商品を扱っているのかを伝える
誰が売っているか?
の方が、より大きなインパクトをもたらしてくれると私は考えています。
ぜひあなたも、セールスレターを書くのもいいですが、クライアントのために、最高の魅力的な自己紹介を書いてあげてください。クライアントのビジネスも「売り込まずに売れる」状況を少しづつ作っていく事ができますし、何より、魅力的な自己紹介のライティングは、クライアントが言語化したかったのに言語化できなかった事なので、メチャクチャ喜んでくれます。
PS
とはいえ、クライアントの想いを言語化するのは、とても難しいです。こちらの記事が、クライアントが言語化できない思いの言語化について、とてもいい気づきを与えてくれます。今回の記事とあわせて、ぜひ読んでみてください。