From:宮川徳生
お客さんにとって最も信用できないこと。
それは「売り手の言葉」
だから、私たちセールスライターは、いかにしてお客様に信用してもらえるのかを考え、様々な事実を集め、それを証明することに力を注ぎます。科学的な根拠であったり、市場調査の結果であったり、売り手の言葉が事実であることを懸命に伝える工夫をします。その中でも、もっともお客さんからの信用を獲得できるパワフルなコンテンツの1つが「お客様の声」ですよね。
もし、お客様の声を魅力的に構築する事ができたのならば、仮に、コピーが少しくらいヘボくても、クライアントのビジネスを大きく伸ばす事ができます。少し極端かもしれませんが、そのくらいお客様の声は重要なコンテンツ、かつお客さんに与える影響力が大きい要素だと言えます。
そのため、私たちセールスライターは、自ら率先して、お客様の声を集めるために、クライアントにお客さんとのアポを取ってもらうようお願いをします。ただ、ここで1つ問題があります。
というのも、毎度毎度、自ら声を集めに出向く事ができない事が、現場に出ていると結構な頻度で起こるという事です。予定が合わなかったり、遠方のため交通費の負担ができなかったり、どうにもならない理由で集めにいけない事があるんですね。
そのため、現実的にはクライアントに声を集めてもらったり、スカイプなどでヒアリングさせてもらったりなどが増えてくるのですが…個人的には、この2つの方法で集めた声は、あまりいい声として構築する事ができません。
というのも、魅力的なお客様の声というのは、そのお客さんが、その商品サービスを使い、苦しみから解放され、どう人生が豊かになったのか、その一連の感情を言語化したものだからです。だから、その感情をあまり感じる事ができないスカイプでのヒアリングや、直接話す事もせず集められた声を魅力的に構築する事は、結構しんどかったりします。
そこで今回は、例え、お客様のリアルな感情をありありと感じられるヒアリングができなかったとしても、そこそこ魅力的な声を作れてしまう、私が常に使っている魔法の質問をまとめてみました。
お客様の声が効果的な最大の理由
まず、魔法の質問をお伝えする前に、お客様の声が効果的な最大の理由についてお伝えします。
その理由は、社会的証明になるから。コピーを学んでいるなら1度や2度は耳にした事があると思いますが、この社会的証明はとてもパワフルな心理トリガーの1つとして挙げられていますよね?
ほとんどのお客さんは、自分で商品を買う決断を下す事はできません。そうした「自分で決められない」時、お客さんは「みんな」がその商品を買っているかどうかを基準に、商品を買うかどうかの決断を下します。
つまり、魅力的なお客様の声がたくさんあるという事は、「みんな」を演出していることに他ならないのです。
「みんなが買っている。しかもこんなに喜んでいる。だったらこの商品は私に必要な商品だ。」こんな具合に、思ってもらえるということです。
ちなみに、このロジックにプラスして希少性や緊急性のトリガーが働いたとしたら…その商品を買いたいというお客さんが殺到することがイメージできますよね。
このように、お客様の声というのは、非常にパワフルな社会的証明という心理トリガーの役割を果たしますので、どのようなコピーの場合も、使わない手はないのです。
この質問がお客様の声を魅力的にするパーツを引き出してくれます
では、魔法の質問についてお伝えしていきます。
質問1・どんな悩み・イライラ・フラストレーションを持っていましたか?
これ、とても重要です。なぜなら、コピーやDRMの鉄則ですが、基本的に私たちは問題解決を売っていますよね?
「ドリルを売るな、穴を売れ!」の例え通り、その問題が解決された結果を売っているわけです。逆に、問題が存在しない市場で商品を売ることは極めて困難なこと。であるならば、お客さんがどんな問題を抱えていたか?それによってどんな悩みを抱えていたのか?それを知ることはとても重要なことですし、リサーチの基本中の基本でもあるわけです。
で、ここでよくやってしまう間違いが、悩みだけを聞いて終わってしまうこと。これは愚の骨頂です。なぜなら、私たちが言語化するのは、その先にある、「そのせいがどんな支障をきたしていたか?」これだからです。
例えば美容室の例。
「髪が傷んでいて困っていました」→これは全く話になりません。そうではなく、髪が傷んでいるお客さんは、そのせいによって普段の生活で「悩みイライラフラストレーション」を抱えているはずなのです。
もしかしたら、髪が綺麗な同性を見るたびに劣等感を感じているかもしれません。もしかしたら、鏡に映る自分の髪を毎朝見て憂鬱な毎日を過ごしているかもしれません。私たちが引き出すのはまさにそこです。
この質問をするときは、こうしたことを引き出すよう努めましょう。
質問2・その悩み・イライラ・フラストレーションから解放されるためにこれまでしてきたことは何か?
悩みが強ければ強いほど、それを解決するためにお客さんはありとあらゆることを既に試しています。でも、どれを試しても解決されないから、こちらにやってきたのです。
ならば、これまでどんなことをしてきたのかを知ることで、そのお客さんの背景を強烈に感じ取れることができます。
基本的にお客様の声は逆転劇で作っていくので、ここの背景が深ければ深いほど、読み手の共感をえることができます。
質問3・なぜ、私たちの商品サービスを選んだのか?
現在、似たような商品サービスが世の中に溢れかえっています。多少の違いはあるかもしれませんが、お客さんからしたら無いに等しい違いです。そんな中、なぜ私たちの商品サービスを選んだのか?、私たちの商品サービスを使いどんな未来がイメージできたのか?
これを知ることで、「他社との違い」を第三者の声で証明することができるのです。違いがよくわからない商品を他社と全く違う商品に感じさせることができるのです。また、読み手に訴えるべき訴求ポイントや自社の強みを知ることができます。
質問4・生活はどう変わったか?
これまでの質問は、ビフォーアフターで言うと、ビフォーの部分でした。ここからはアフターの部分の質問になります。この「生活はどう変わったか?」は、質問1の対比になります。
つまり、質問1で引き出した、悩み・イライラ・フラストレーションによって支障をきたしていた生活が、どのように変わったのかを見せるのです。
先ほどの例を続けると
ビフォー
髪が傷んでいることで、髪が綺麗な同性を見るたびに劣等感を感じている
アフター
髪が綺麗になったことで、自信を持ってママ友の前にいける。
例えが微妙かもしれませんが…質問1と質問4がリンクすることで、お客様の声の構築がとても簡単になることがイメージできると思います。
繰り返しますが、ここでの注意点は、「髪が綺麗になって嬉しいです」ではダメですからね。髪が綺麗になった結果、生活がどう変わったか?ここがポイントになります。
質問5・今どんな気持ちですか?
これ、個人的にはかなり重要視しています。というのも、ここまでの質問は基本この順番で聞いていくので、この直前で質問しているアフターを喋った後のお客さんは、その生活を手に入れた時の感情が蘇ってきている状態です。
その状態のお客さんに対して「今どんな気持ちですか?」この一見唐突にも思える質問がどのように作用するのか、なんとなくわかりますか?
この質問をこのタイミングですると、お客さんの咄嗟の感情を表現した一言が飛び出てくることがあります。つまり、感情の根っこにある本当の感情を表現した言葉です。
この質問は、このタイミングだからこそ意味があります。他のタイミングで聞いても、お客さんも咄嗟に答えが出てこないので、「考えた結果」の通り一辺倒の言葉しか得られません。この質問は必ず、お客さんが生活が変わった瞬間の感情になった時にすることで、意味をなします。
質問6・あなたと同じ悩みを持っている人に、私たちを紹介するなら、どう言って紹介しますか?
これは、どんな人にオススメですか?でもOKですが、個人的にはこちらの方がいい感じなので、こちらを使っています。
というのも、どんな人にオススメですか?は、どんな悩みを持っている人にオススメかを引き出す質問に対し、この質問は、「ここの商品はここがいいから絶対使った方がいいよ!」というそのお客さんが一番満足しているポイントを引き出す質問になっているからです。
この違いイメージできますか?
この2つは結構大きな違いなので、用途に分けて、使い分けるのがオススメの締め方です。
いいから黙って客に会え!
セールスライターは一見、家にこもって誰にも会わずにできる仕事だと思われがちです。そして、それを望んでいる人が多いのも事実です。が、いいコピーを書こうと思ったら、お客に会うことは一切の例外なく必要なことです。
コピーを書いていて何かつまずくことがあったなら、迷わずお客に会って話を聞くことをオススメします。
PS
うちのチームのインタビュー関連を仕切っている小野さんが、スカイプインタビューに必要なポイントを解説してくれています。インタビュースキルはセールスライターの必須スキルの1つなので、見ておいて損はないですよ!