こんにちは。
株式会社バリューイノベーションジャパンのリサーチャーXです。
今回の推し本はコチラ!
   ↓
■ 困難上等 地方の精密鋳造部品メーカー挑戦と復活の軌跡
https://www.amazon.co.jp/dp/4344693701

こちらの本は、

・不安や恐れからリスクを取るのが怖い
・ビジネスのアクセルを踏み切れない
・今まさに行き詰まり感を抱えている
・中小企業や製造業の現場に興味がある

そんな方に、ぜひ読んでいただきたい1冊です。

著者は、精密鋳造部品メーカー  株式会社キャステムの
代表取締役 戸田 拓夫さん。

本書の表紙帯に、

幹部大量退職、金型盗難、バブル崩壊、親会社の圧力ー
幾度となく潰れかけながらも、そのたびに立て直してきた
幾多の修羅場をくぐり抜けてきた
町工場の軌跡には
逆境を乗り越えるヒントが詰まっている

引用「困難上等」表紙帯裏

 

とあるように物語は、幹部社員の裏切り&大量退職から始まります。

「え、これ実話なの?」
というくらい、もうここで胸が痛い。


表紙帯に書かれているようにこれでもかというほど、
困難が次々と襲いかかります。

それでも戸田さんは真正面から立ち向かっていくのです。
(まさにこの「立ち向かう」という表現がピッタリ)

そして、戸田さんはあとがきでこう書かれています。

この本を執筆した理由は、私が歩んできた道のりが、若手経営者や二代目経営者の方々にとって、苦境を乗り越えるためのヒントになればと願ったからです。本書を通して伝えたかったのは具体的な経営手法ではなく、経営者としての覚悟です。

引用「困難上等」p.193

 

そうなんです。

この本には、テクニックやノウハウのような
「手法」はほとんど出てきません。

ただただ、
容赦なく襲ってくる現実にどう向き合い、
どう超えていったかが描かれています。

「さすがにこれはもう無理なのでは…」
と、読んでいるこちらが諦めそうになる場面も
一度や二度ではありません。

それでも、戸田さんは立ち上がる。
「経営者としての覚悟」を持って、
自らリスクを取り、乗り越えていく。

そんな姿を目の当たりにして私は、かつての自分の
「リスク恐怖症」を思い出しました。

社会人になりたての頃から数年前まで
私はとにかくリスクが苦手でした。

1%でも不安があれば、
それだけで「やらない」という判断をしてしまう。
避けられるものなら、すべて避けて通りたい。

そんな“守り”100%の思考でした。

ですが、あるときを境にこの考え方が変わります。
「リスク、取ろう」と。

思い返すと、その転機はマーケティングの世界に
足を踏み入れたときでした。

それまでの私は、
規格や正解がカッチリ決まっている業界にいたので、

「リスクは徹底的に排除すべし」
「失敗の可能性はゼロでなければならない」
という感覚が染みついていたんです。

ですが、マーケティングの世界では、

・やってみなければわからない
・試行錯誤が前提
・コピーも広告も打ち手に“完璧”なんてない

むしろ「3割当たれば優秀」と言われる
そんな世界です。

そんな中に身を置いているうちに、
自分の思考が少しずつ変わっていきました。

「そもそも失敗やリスクを
 “完全に排除できる” と思っていること自体、
 とらえ違えているのでは?」

そう思えるようになってから、
リスクに対する向き合い方が
ガラッと変わりました。

もちろん今でも、
「なんでも突っ込め!」とは思えていません。

けれど、
「守りだけでなく、攻めも選べる」自分になれています。

そこで助けられたのが
「リスク ヘッジ」からの「リスク テイク」への変化です。

リスク ヘッジ=損失を最小限に抑える「守り」
リスク テイク=成果やリターンのためにあえて取る「攻め」

以前の私は、この“守り”100%だったのですが、
「損失よりリターンの方が大きい」
と判断できるなら、「攻める」という選択肢を
取れるようになりました。

大事なのは、0 か 100 かではなく、

グラデーションでとらえること。

もちろん、うまくいかないことも当然ありますが、
それ以上に得られるリターンや突破口も確かにありました。

「リスクを取ること=危険なこと」ではない。
むしろその向こう側にしかチャンスはないんだ、と
ようやく気づくことができました。

そしてもうひとつ。

私はリスクを取ると決めたとき、
自分をどんな状態に持っていくか?という
“内側の整え方”も大切にしています。

どの状態の自分で臨むのか?
という視点です。

といいますのも、私は過去、
自分の力ではどうにもならない状況に
直面したことがありました。

「どうしよう…本当にこれでいいのかな」
「この選択肢は間違ってないかな」

ですが、そのときの私は
同時にこうも思っていました。

「今の自分ができることは全部やった」

その瞬間、変な迷いや焦りが、
スーッと消えていきました。

責められても、怒られても、結果が出なくても
すべて受け止めて対応しよう。

このとき私は、はじめて
「まな板の鯉」になる覚悟ができたのです。

以来、私は自分にこう問いかけるようになりました。
「今、自分ができることのすべてを、やりきっているか?」

社内でトラブルが起きたときも、
クライアントさんとの打ち合わせや
プレゼンの前、提案のあと。

出せるアウトプットを出しきったか?
伝えるべきことを伝えきったか?
実行すべきことをやりきったか?

と問いかけ、腹を決めて臨むようにしています。

そんなふうに自分の中では
やってきていましたが、
本書の中でリスクを取り続ける戸田さんの生き様は、
その考え方をもう一段階深めてくれるものでした。

「まだやれること、あるんじゃないか?」
「もっと出し切れることがあるんじゃないか?」

そう自分に問い直す機会になりました。

そして、
本書を通じてあらためて感じたのは、
リスク テイクの先にこそ、
本当のチャンスがあるということです。

もちろん、リスクを取るのは怖い。
不安もあるし、痛みも伴います。

ですが、その先でしか見えない景色が、必ずある。
守っているだけではたどり着けない世界。
挑戦してみて、はじめて目の前に開ける未来。

理想は、自分自身のビジネスで
その世界を見ることですが、
以前の私のようにどうしても
その一歩が踏み出せないようでしたら
こちらの本で疑似体験してみてください。

戸田さんがリスクを取りながら、
何度も現実を突破していく姿を、
ぜひ見届けてみてください。

不安や恐れから、
リスクを避けたくなるときこそ、
あえて攻めてみる。

その視点を、持てるようになる本です。

・リスクを取るのがどうしても怖い方
・アクセルを踏み切れずにいる方
・今まさに、ビジネスが行き詰まっている方

ぜひこの一冊を、手に取ってみてください!

きっと、壁の向こう側を覗く勇気と、
その先のチャンスを掴みにいく視点を
くれるはずですから。