2024/04/10

〇〇をするとなぜか高確率で高額商品が売れる

From 古川馨

「店長、〇〇の後って、必ず高額売りますよね
どうやってるんですか?」
僕がまだ眼鏡屋だった頃の話。
部下から質問をされました。

僕はガンガンセールスする…というよりは
技術屋さんだったので、
検査とか加工とか
修理とかフィッティングとか。

そっちをメインでやっていたのですが、
売上はそこそことっていました。

検査やフィッティングは僕じゃないと嫌だと
1~2時間待ってくれる人がいたり
必ず来店前に出勤を確認して
来店予約をしてくれる人がいたりと
固定客もいます。

そして、眼鏡屋でよく発生する
”あること”の後では、8割くらいの確率で
高額商品を売っていた方法があります。

それが冒頭の話。

何かというと…修理。
メガネを壊したとか曲がったとかのお直し。
それも店頭での修理です。

これを受けて修理が終わったあとに
めちゃめちゃ売れるんですよ。

完全に折れていたりすると
店頭ではできませんが、
ある程度の曲がりや部品を交換すれば治るもの。
かけ具合のせいで見え方がおかしいとかもあるので
その辺も調整や修正をしていくのですが、

その修理をしてあげたあと、大抵の方が
1本、2本と買っていってくれる。
新規の方も既存客の方も含めて。

しかも、大抵は、それまで使っていたものよりも
高額なものや店単価の平均よりも
高いものだったりします。

それを見ていた部下が「なんで?」と
疑問に思ったようです。

その当時の僕の修理のスタイルは
他の店とちょっと違っていました。

大抵の眼鏡店で修理をするとなると
バックヤードや別室の加工室へ
メガネを預かって持っていくケースが多い。

あるいはカウンターの後ろにある
加工スペースでやるとか。

しかし、お店のカウンターにお客さんを座らせて
その目の前でお客さんと対話しながら修理していました。

目の前に工具を広げて、修理箇所を一つ一つ
お客さんに確認してもらいながら
どこがどう曲がっていて、どんな風になっているのか
それをどの工具を使って、どう治すのか。

説明しながら直していくんです。

踏み潰してペシャンコになったメガネが
目の前でみるみる元の姿に戻っていく。

しかも、
「これをこの工具を使って、ここをこうすると…」
「ほら、もどった!」みたいな。

目の前で手品をしているような感じで
治していきます。

ただ修理をしているだけなんですが
お客さんもエンタメを見ているような感覚で
真剣にみて「おおお!」とか反応してくれます。

そして、形が元に戻ったメガネをフィッティング。
それも顔への合わせ方も逐一、説明しながら

「これだとまだグラグラしますよね。
柄の部分を頭に沿わせるようにすると…」

「お、ピタッと吸い付く感じだ!」

ぴったりフィットしていく感じを
体験してもらう。

すると大抵、
「むしろ、壊れる前よりも良くなった!」
と喜んでくれます。

そして、そのまま店内を見て
購入につながるケースが多いんですね。

これがその部下には不思議だと。

当時はパフォーマンスの意味もあって
目の前でやっていた側面もあります。

枠なしメガネをハンドドリルで穴開けて
お客さんの目の前で組み立てたりとか…。

技術売りをしていたので
それを来店しているお客さんに見せる。
レストランのオープンキッチンみたいなもんです。

そして、これをやることによって
単価や店の売り上げもあがっていたので
続けていただけ。

でも、なぜ売れたのか?

それは他店ではできない体験ができるから。
ある種のエンタメ性があったから
だと考えています。

今でこそ、モノ消費からコト消費へなんて
言葉がありますが
当時はそこまで考えていません。

ですが、普段は隠されている
修理や加工を目の前でやってくれる

エンタメですよね。
他ではできない体験です。

だって、面白いくらい
真剣に見てくれるし、修理中に質問もしてくる。

興味あるんです。

預かって「治しときます」でもいいですが
目の前でやってあげた方が信頼感も親近感も湧きます。

なにせ、たいしてトークが上手いわけでもない僕が
修理後はお客さんと雑談しているだけで
高額商品をバンバン売っていたので。

普通に売るのではなく、エンタメ体験を挟んだことで
一気にセールスが簡単になったわけです。

例えば、
「実演販売を見てついつい買ってしまった…」
これもエンタメ体験ですよね。

僕の知人の眼鏡屋さんは
「メガネの手作り教室」を定期的に開催。
これによって地域だけでなく
他県からも来店が増えて
売り上げアップに繋げていました。

メガネ美人になるための
メガネに合うメイクアップ講座を
やっているところもありましたね。

また、先日、ある住宅会社がモデルハウスの宿泊体験
みたいなものを売っていましたが、
これもある種のエンタメ体験ですね。

宿泊して良さを体験すれば欲しくなる。
さらに差別化にもなる。

商品やサービスだけではどうしても
競合と差をつけるのは難しい。
でも、体験ものをプラスできれば
それだけで他との違いを出せます。

あなたのビジネスで「体験」を
ウリにできるところはありますか?
「体験」を演出する仕掛けは作れますか?

差別化が難しいビジネスほど
何かを体験させるというプロセスを一回挟むことで、
新しい集客の糸口が見つかるかもしれませんよ。