From:桜井啓太
もしあなたが「振り込め詐欺」のグループに勧誘されたら、入ってくれますか?
昨日のフジテレビ・バイキングで「振り込め詐欺のスカウトの様子」を特集していました。音声も画像もかなりクリアな状態で撮影されている、本当にスクープな映像でした。
ダン・ケネディは「私たちは詐欺師からも手法を学ばなければいけない」と言います。もちろん詐欺商品を売ることを真似てはいけませんが、その方法からは学べることが多いということです。
この振り込め詐欺勧誘の手口は、セールスライターとしてとても参考になるところがありました。それが…
どうしたら詐欺をやってくれますか?
おそらく、セールスライター的に考えて、振り込め詐欺スカウトをするためのコピーとしてもっとも最悪なのはこれでしょう。
「やべー稼げるよ、やろうぜ!」
この一言だけで何とか押し切ろうと思っても、土台無理な話ですよね。もしあなただったら、「どんな誘われ方」をしたら、振り込め詐欺の仲間に加わってもいいと思いますか?
いや、条件次第でやろうかななんて思ってしまってはいけないのですが…(笑)
参考までに、昨年の検挙件数から判断して、こういった詐欺グループに加わっているのは64%が10〜20代だそうです。それからこれはイメージですが、女性はあまり逮捕のニュースをみたことがないので、男性が多いのかもしれません。
このペルソナから考えて、どういうベネフィットで攻めればいいかを考えてみれば…
おそらく「金」でしょうね。若い頃は稼げない割に遊ぶ金は欲しいものです。事実この番組の中でも、
「彼女と遊ぶ金が欲しかった」
「スキー旅行に行きたかった」
と犯行理由を説明する容疑者が多いということです。
だとしたら使うべきセールスコピーは絞られてきます…
実際に詐欺師が使ったセールスコピー
番組でスクープされていた振り込め詐欺のスカウトマンの話を文字起こししてみたのでちょっと見てください。それから1つ1つ分析していきましょう。
「現金受け取り役だったら、ほぼ毎日とれて、1日1本(100万)から2本(200万)」
まずはシンプルにベネフィットの説明です。ただしまだ表面的であり、セールスライティングでいう「特徴」に過ぎません。すなわち、お金がベネフィットならその金額を言うということにとどまっています。
それから直接的な報酬ばかりでなく、勤務条件?とも言うべき周辺のベネフィットも語っていました。
「経費とかもタクシーとか電車で超移動するから、交通費とかは(こっちもちだから)」
「土日は休み」
交通費と休日の案内です。まさに求人情報ですね。
これらは決してベネフィットの本体ではありません。あなたが詐欺グループに加入するのに、「交通費が出るかどうか」が頭を支配しているなんてことは絶対にないからです。
絶対的な報酬があってこそ。とはいえ、交通費や休日という条件が良いことをアピールされたとして、「それならなおさらいいな」と思ってしまうことはあるでしょう。この辺はメインベネフィットの引き立て役といったところです。
「スーツとか着てもらって、髪の毛とか黒くしてもらう」
「ちょっと悪そうでも平気だよ」
「ピシッとすれば(大丈夫)、カバンとかも持たせるし」
「あれだったらメガネとかもかけさせるよ」
たぶん、このスカウトマンが話している相手って、いわゆる「ワルい」見た目なんでしょうね。偏見ではないのですが、つまりは不良少年とかをスカウトしているのかと。
だとしたら「自分、ワルそうに見えるし怪しくないのかな」という不安は出てくるのかもしれません。このコピーは、そういった不安に対応するものだと思います。要は反論処理ですね。
「実際、俺いま板(現金受け取り役)の張り(見張り)やってんの」
「実際板だったら末端のほうが捕まらないと思う」
これはリスクリバーサル。「捕まったらイヤだ」という当然思いつくであろうリスクに対して、「その心配はない」ということを伝えています。
ただし、こんなの簡単に信じてしまって…大丈夫なわけはないですが。
「やるならね、1週間とりあえずやってみるのがうちのスタイル」
なんと、返金保証です(笑)1週間とりあえずやってみて決めていいよ、というオファーでリスクをしっかり取り除いています。もちろん、1週間後に辞めるといって、すんなり辞められるかどうか信じるのはあなた次第ですが…
これは真似したい!ベネフィットライティング
僕がびっくりしたのはここからです。メインベネフィットである「お金が手に入る」というのを、このスカウトマンはこのように表現していました。
「普通にDIESELの服とか、4万5000円の服とか、普通にその場で来て『いいじゃん』と買っちゃうみたいな」
「それでも全然40万くらい貯金あって」
番組ゲストのYOUさんいわく、DIESELという言葉の選択が絶妙だそうです。DIESELは若い男性に人気のブランド。しかも変な言い方になりますが、どちらかというと不良っぽいワイルドな感じです。
「その場で来て『いいじゃん』って買っちゃう」ってのものいいですねー。具体的な描写であるとともに、「本当に金に困らなくなる」という真のベネフィットをきちんとピクチャーさせてくれます。
「値札を見ずに好きなものを買う」というのは、起業や金儲け系商品のセールスライターがバシバシ使ってくる鉄板フレーズ。
で、最後は「口座残高」です。僕が考えるに、口座残高が気分のバロメータになっている人は多いです。事実、今の僕がそうです(笑)割と残高が多いことに上機嫌になった後、実は支払いを忘れていて実質はもっと少ないことに気づいてしまったとき。とても悲しくなるものです。
詐欺師から学べ、でも詐欺師にはなるな
もちろん詐欺はやってはいけません。でもセールスライターは、広い意味ですぐに「詐欺師になれる」職業です。なぜなら、100の価値しかない商品を105あると見せかけて売るのが、セールスライターの得意技だから。
振り込め詐欺は0を100だと言い張る仕事なわけで、それは流石に悪徳すぎますし逮捕もされます。けどだからといって、100→105も立派な詐欺です。
だからぶっちゃけ、セールスライターは詐欺師をバカにすることはできません。だって、一つ間違えたら詐欺師になれちゃうので。だからこそセールスライターは、スキルはもちろん、「マインド」も大切な仕事だと僕は思います。
PS
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動画「セールスライターは○○だ」