From:宮川徳生
少し前、ある会社がT字カミソリを
面白い方法で大ヒットさせた事例を見た。
カミソリ市場はシックとジレットが
ほぼ2強すぎて他が虫の息の市場なわけですが…
(ちなみにこの2社だけで9割近い)
なんと、その会社は
T字カミソリをWEBだけで
5億近く売ったらしい。
しかも、カミソリを
サブスク形態で売れる仕組みもあるらしく
儲かってしょうがないと。
この事例を見た時
僕が思ったのはズバリ
「うまいな〜」
これぞプロの仕事と呼ぶにふさわしい
マーケティング戦略だった。
なので、この戦略が
あなたにとっても
メチャクチャ役立つと思ったので
今日はその話をシェアしようと思ったのだが…
その前に!
1つクイズに答えてみて。
クイズ:夏の野球場で売るならどっち?
夏の野球場で売るなら
・キンキンに冷えた生ビール
・熱々のホットコーヒー
どっちを売りますか?
と聞かれたら
ほとんどの人はビールと答えると思う。
そりゃそうだ。
野球観戦したことある人ならわかると思いますが
野球見ながら飲む一杯は最高に美味い。
しかも、それが真夏ときたら
何杯でも飲めるわけだよ。
なので、野球場でビールは鉄板の人気商品で
売り子一人当たり1日で30万近く売れるそう。
1人で1日30万円ってすごい。
売り子が何人いるのか分かりませんが
50人と仮定すると
50人x30万円=1500万円
ビールだけで1日1500万円も
売上がある計算になる。
毎日試合したら
1ヶ月でビールだけで4億5千万も
売れるってやばくないか。
だから、こんなこと考えなくても
ほとんどの人がビールと答えるよね。
でも、マーケターである我々は
もう一方の可能性も考えなくてはいけない。
真夏の野球場で
熱々のホットコーヒーは売れるのか?
誰だってビールが売れるとわかってるわけだから
その中であえて熱々のホットコーヒーをメインで
売ろうだなんて思わないだろう。
こんなもの
考えるまでもなく「却下」だ。
もしあなたが
野球場の経営をしていて
物販の会議でスタッフから
「今年はビールではなく
ホットコーヒーを売ろうと思います!」
なんて議案が出されようものなら
「お前黙れ!」
と、一瞬で
口を塞ぐんじゃないかなw
ってくらい
夏の野球場で
ビールとコーヒーどっちを売るかって聞かれたら
100人中100人がビールって答えるだろう。
ちょっと捻くれ者なら
あえてのコーヒーと答える人もいるかもしれないけど…
まぁ、売れるものなら売ってみなって感じだよね。
カミソリを5億売った会社と
(しかもサブスクとセットでボロ儲け)
真夏にビールとコーヒーを売る話の共通点
真夏でビールとコーヒーを売る話を踏まえた上で
あなたに考えて欲しいことは
真夏の野球場で
熱々のホットコーヒーを売ることと
同じ間違いをしていないか?ということ。
真夏の野球場で
なぜホットコーヒーが売れないのか?
それを考えるにあたり
とても分かりやすいのが
冒頭のカミソリの事例なのだ。
売れないカミソリが
WEBで大人気カミソリに!
あなたが男性なら
髭を剃るのにシェーバーかカミソリか
どちらかを使ってる思う。
僕はカミソリ派なわけだけど
ちゃんと剃ろうと思ったら3日で1回は
替え刃を替えたい。
で、僕が使ってるカミソリは
ジレットのやつなんだけど
替え刃のセットが四個入りで二千円くらいする。
そうすると
月で約2セット使う計算になり
年間24セット。
年間カミソリの替え刃に
5万くらい使ってる計算になる。
改めて計算すると
すごい金額使ってることに今気づいて
ビックリしてるw
まぁ、そんな話はどうでもいいとして
カミソリって大元のメーカーの替え刃を買うので
大体ジレットかシック以外は売れないというのが
日本のカミソリ市場の現状なわけだ。
だから、事例のカミソリ会社も
相当安くしないと売れないため
撤退を考えていたとのこと。
で、そんな時に
その会社はあるものを目にしたそう。
それは
「男性向けのプレゼントで
シェーバーが女性に人気」
シェーバーって普通
男性が使うものだから
男性用商品なわけだ。
だから、女性がお金を払って
買うなんてことはない。
だが、男性へのプレゼントとしてなら
女性だってシェーバーを買う。
それをみて
この会社は閃いたそうだ。
「カミソリ派の男性の家族や恋人がいる女性に
プレゼントとしての男性用カミソリセットを売ろう」
狙いは見事に当たったようで
カミソリ派の男性の近親者がいる女性が
誕生日や記念日、勤労感謝の日とや父の日などで
買われるようになったんだと。
しかも、これがすごいのが
男性からしたら近しい女性から貰ったものなら
大事に使うわけじゃん。
だから、そのカミソリ用の替え刃を
買い続けるわけだよ。
さっき計算した通り
僕は年間5万近く替え刃だけで使ってる。
つまり、カミソリセットの本体は
七千円くらいらしいけど
そこから先、プレゼントされた男性から
毎年3〜5万くらいの替え刃の売上が
ほぼ確約されるってわけだ。
既にお金を払っているカテゴリーに
自分の商品をカテゴライズすることはできないか?
「いい商品なのになかなか売れないんです。。。」
これは事業をやってる人から
本当によく聞く話だ。
でも、それは
真夏の野球場でホットコーヒーを売るとの同じ要領で
売れてないってことはないかってこと。
真夏の野球場で
ホットコーヒーにお金を使う人はそもそもいない。
そんな中で
ホットコーヒーにお金を使わせるってのは
一筋縄ではいかない。
というか無理だ。
だから、そういう時
我々が考えるべきことは
「既にお金が使われるカテゴリーに
自分の商品をカテゴライズできないか?」
ということである。
カミソリをプレゼントに
カテゴライズして無名のカミソリメーカーは
ボロ儲け状態になった。
あなたの商品の
定義を再定義する
この話は
あなたの商品をどういう定義で
顧客に売ってるかという風に
考えることもできる。
例えば、シーブリーズという商品は
その昔「マリンスポーツをする男性の汗拭き」
という定義で売っていた。
だが、類似商品が溢れてきたことで
シーブリーズは存続危機を迎える。
そこで、シーブリーズの定義を
・マリンスポーツをする男性の汗拭き
↓
・女子中高生が汗の匂いを気にせず好きな男の子に会えるようになるための商品
として再定義したことで
売上が一気に8倍となり
見事なV字回復を遂げた。
シーブリーズも
女子中高生が汗の匂いを気にして
制汗剤にお金を使ってるという事実を知り
商品の定義を変えたことは有名な話である。
既にお金が払われてるカテゴリーに
自分の商品をカテゴライズする。
簡単な方法ではないが
これができれば売れない商品を
一気に売れる商品にすることができる。
このやり方
ぜひ覚えておいてほしい。