2023/07/30

[勝手に紹介が起きる]ある経営者の人脈づくり方法

こんにちは。
リサーチャーXです。

「人脈を増やしたい」

ビジネスをしている者であれば、
一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

異業種交流会へ出席したり、
懇親会や飲み会の参加したり、
コミュニティに属したりして、
仕事を紹介してくれる人とつながりを持てたら…。

駆け出しの頃はもちろんのこと、
ある程度仕事がある状態であっても、

全く知らない人の案件は、
リスクやコミュニケーションコストなどの
問題もありますから、

できれば、
人脈からの紹介で顧客を確保したい。

そうすることで
営業労力的な意味でも
コミュニケーション的な意味でも
安心感が違いますよね。

そんな「人脈づくり」ですが、
言葉の印象からどこか

「まずは自分から能動的に
 働きかけるもの・探すもの」

というニュアンスで
使われる事が多いような気がしています。

真っ先に思いつくのは
冒頭のような交流会や懇親会などで、
初対面の人に名刺を配ったり、
共通の話題で会話を盛り上げたりでしょうか。

対面が得意だったり、
好きであれば良いのですが、

実際に見聞きするのは、

「実はあまり好きではない」
「できればやりたくない」

といったお声だったりも。
(あなたはいかがですか?)

ところが。

そんな「人脈づくり」のとらえ方を
クルッとひっくり返してしまう人が
私の知り合いの経営者にいます。

仮に、
その方をAさんとしますね。

私はこれまで、
Aさんが頭を下げてのお願い営業を
しているのをみたことがありません。

もちろん認知施策のために
ネット広告などは活用していますが、

仕事の受注に関しては、
お客さま、仲間、知り合い、関係者からの
口コミ、紹介が圧倒的多数を占めます。

これだけみると
そこまで驚くことじゃないかもしれません。

Aさんがすごいのは、ここから。

たとえば、こんな感じです。

 ↓

一般のお客さまがAさんに対して
「あなたの会社は、
 ◯◯社さんと繋がったほうがいい」
という提案をしてくださり、

 ↓

あろうことか、
そのお客さまが勝手に(?)
自発的に営業をしてくださっただけでなく、

 ↓

ついには、
その営業先の会社さんの方から
Aさんにコンタクトをしてきた、
ということがありました。

ビジネス仲間でもなく、
一般のお客さまが、です。

結果、Aさんは
そのコンタクトをしてきてくれた会社さんと
本当に提携することになったのだとか。

そのお話を聞いたとき、
「そんなことってあるの?」
と私は耳を疑いました。

ビジネス仲間からの紹介なら、
まだありえそうですが、

一般のお客さまが提案してくれたり、
あろうことか自発的に
営業までしてきてくれるとは…。

Aさんがそのお客さまに
ワイロ的なものを渡したり、
特別扱いしているといったことはありません。

お客さま自身が、

「自分の知っている会社がコラボしたらいいな」

と思ったからつなげただけ、
というシンプルなお話。

自分の中にあった
「人脈づくり」という概念が
音を立てて崩れていったのは
いうまでもありません。

…と、このお話を
ここで終わらせてしまうのはもったいない。

職業柄、

「そこに法則はないのか?」
「再現性はないのか?」

を追究したくなってしまうので
改めてリサーチをしてみました。

まずは、
Aさんの会社で取り扱っている製品。

これが、
価値あるものになっているのは大前提。

製品やサービスが価値あるものでなければ、
そもそもお客さんは満足しませんから。

次に、Aさん自身。

とくにAさんの、
“相手に対する接し方” に注目してみました。

すると、とにかく

・熱心な姿勢
・ていねいにヒアリング
・おだやか・笑顔で対応
・一人ひとりにまっすぐな態度

をしている。

もちろん、そこはビジネスですから
要望をなんでも受け入れる
YESマンではありません。

自社のポリシーや大事にしたいこと、
譲れないことはきちんとお伝えしている。

そのうえで、
相手の要望や実現したいこと、
雑談すらもていねいに誠実に
一つ一つ向き合って対話をしているんですね。

BtoBであっても、
BtoCであっても。

たとえば、
納期の交渉のとき。

Aさんは、
自社の譲れない線はお伝えしながらも
相手の事情を時間をかけてしっかり聞く。

杓子定規ではなく、
その相手に合わせて状況を組み上げていく。

そうしているうちに、
Aさんも相手も交渉相手というよりも
“戦友” のような “同志” のような
空気感になっているのでした。

そんな状況を目の当たりにし
私はAさんに
「その対応は意識的にやっているんですか?」
とおたずねしたことがあります。

するとAさんはキョトンとした表情で
「何もやっていないよ?」
と。

それを意図してやっているというのではなく、
ましてや相手を操作しようとしているのでもなく、

ビジネスうんぬん以前に
人として自然と
そういった姿勢が身についている。

人によって態度を変えてしまう
(変わってしまう)ことも多い中、
誰に対してもフラットなんですね。

その様相から
“スキル”という言葉は
似つかわしくありませんが、

相手を警戒させない空気をつくるのが
バツグンに上手なのです。

私もAさんとは
ビジネス仲間として関わっていますが、

こちらが
「信頼しすぎでは?」と心配になるくらい
Aさんは相手を信頼し、邪念がありません。

「相手を利用しよう」ですとか、
「相手より取り分を少しでも多くしよう」

といったものがゼロ。

とにかくクリア、透明なのです。
(ニュアンスが伝わるといいのですが…)

そんなふうにAさんから接されると
邪念を持つことがバカバカしくなるような
気持ちにさせられます。

さらに
その空気に自然と引き込まれて

「この人を手助けしなければ」
「なにかサポートしたいな」
「もっといろんな人に知ってほしい」

と謎の使命感(?)に駆られるまでにいたり、
損得なしに紹介したくなる。

勝手に動かされてしまう、
という感覚が近いかもしれません。

そんなAさん。

現在進行形で
お客がお客を呼んでいるだけでなく、
ビジネス仲間の紹介が紹介を呼ぶ…

といった好循環が生まれている状況です。

・・・

今回のお話は、
能動的な「人脈づくり」を
否定するものではありません。

それも有効な一つの方法ですし、
個人的にはそんなふうに頑張る人も
心から応援したいですから。

一方で、
苦手な異業種交流会や
懇親会に行かなくても

日々、目の前の人にていねいに
全力を尽くして接することでできる
「人脈づくり」もあるということ。

気合をいれて
「人脈づくり」を目的に行動しなくても

毎日、目の前の一人に対する積み重ねが
結果そこにつながる可能性がある。

であれば、
そこに注力しない手はないですよね。

お願いして紹介してもらう、のではなく、
紹介したくなる人に “なってしまう”。

とはいえ、
言うは易く行うは難し。

今日明日ですぐにできるように
なるわけではないかもしれません。

ですが、

「こんな『人脈づくり』もあるんだ」

という視点が加わることで

次に会った目の前の人への対応は
きっと違うものになってくるはずです。

能動型「人脈づくり」と
受動型「人脈づくり」。

両方できたら最強ですね。