From 古川 馨
「ごめん、ボツ。これ撤去」
僕がそういうと、
彼はがっくりと肩を落としたのでした。
これは僕が眼鏡屋の店長として
やっていたころの話。
休み明け、出勤してみると店頭に
何やらPOPらしきものが貼られています。
「なんだ?」
そこには、
商品の特徴やおすすめのポイントなどが
ずらーっと書かれています。
商品の材質やメーカーのこだわり
どんな人におすすめなのかとか
どんなシーンで活躍するか
などなど。
正直、僕も知らなかったことが
書かれていたりします。
「ほほう」
メーカーのHPにも記載がないこともあったので、
営業マンに連絡したのかもしれません。
結構、しっかりと調べたのがよくわかる内容です。
きっと新商品を売るために
はりきって作ったのでしょう。
作ったのは、どうも入社して
2年目くらいの男性社員。
「これ何?」と聞くと、
待ってましたとばかりに
得意げに語り始めます。
最後まで聴き終わった僕は一言。
「ごめん、ボツ。これ撤去」
お客さんは「読まない」
真剣に調べたのもわかる。
一生懸命作ったのもわかる。
時間もかかったのだろう。
でも、これは読んでもらえない、、、
というか読んでもらうという発想で
POPを作っている時点で厳しい
POPの役割は注意を引くことであって
読ませるためのものではない。
接客してナンボのお店。
キャッチのためのPOPならいいが
それ以外はほぼ不要なのだ。
残念ながら彼が作ったPOPは
写真もない
イラストもない
あるのは文字文字文字、、、
しかもモノクロでカラーですらない
文章だらけの読ませるPOP
ただのコピー用紙に印刷されたPOP
タイトルは多少大きいものの
基本的に細かい文字で
びっしり書かれている
「雑誌の記事か」と思うくらい。
よほど興味がないと読まないだろう。
価値は内容を読んで貰えば
伝わるかもしれない
でも「注意をひく」という意味では
POPとしてはあまり機能しないだろう。
というのが僕の判断だった。
すぐさまPOPは撤去することとなった。
せっかく内容はいいのに
読んでくれることが前提だったり
最後まで見てもらえるはずと
考えて作ってしまう、、、、
こんなことって
コピーの世界でもよくあります。
例えば、
動画広告。
画面いっぱいの文字で
商品やサービスを説明している動画
広告やチラシなどのように
手に取ってじっくり見ることができるものならまだしも
動画だと1秒や2秒で画面が切り替わる
当然、そんなに文字が多いと読めません
映画の字幕なら
1秒あたり4文字とルールがあるくらい。
動画では文字はデカく、少なくが鉄則です。
でも、結構、文字で伝えようとする人が
多かったりします。
読めない文字ばかりが
どんどん出てくる動画、、、
結局、伝えたいことの
半分も伝わらないでしょう。
他にも、
興味を引くポイントが
動画の冒頭になかったり、、、
キャッチが弱いとそもそも
続きを見てもらえません。
テレビCMと違ってネットの場合、
数秒でスキップができます。
別のページに飛んでしまいます。
なので、動画広告では冒頭の5秒で
興味を持たれないとだめ。
冒頭が最も力を入れないといけない部分です
でも、そこをちゃんと作っていない
動画広告も多いのが現実です。
見られない・読まれないの壁を越える方法
動画広告に限らず
ブログやLPもヘッドラインやファーストビューで
興味が引けないと中身を読んでもらえないし
メルマガも件名がダメだと読まれない。
ネット広告だって
ヘッドラインやサムネイルがだめだと
クリックしてもらえないですよね
なので、
常に読まれる、見てもらえる前提ではなく
読まれないかもしれない
見てもらえないかも知れない
POPだって同じ。
例えば、冒頭の彼のPOPも
商品画像があれば
違ったかもしれません
例えば、
ドンキホーテーのようなPOP。
厚紙や発泡スチロールで
特徴やオススメポイントを
吹き出しのように作って
商品に取り付けたなら
インパクトもあるだろう
「読まれない」
「最後まで見られない」
という前提で考えてみることで
「どうやったら読まれるのか」
「どうやったら見てもらえるのか」
と工夫を凝らすようになります。
読まれる前提で書かない
見られる前提で作らない
こんなことを常に意識して
考えてみてください。
全然違ったものが
出来上がるはずですよ。