
こんにちは。
株式会社バリューイノベーションジャパンのリサーチャーXです。
今回の推し本はコチラです!
↓
■ 謀略の技術-スパイが実践する籠絡(ヒュミント)の手法
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タイトルだけ見ると、
「いやいや…ビジネスには関係ないでしょ?」
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、読んでみたら…これがもう大ありどころか、
現場でこそ使える視点だと感じてのご紹介です。
そもそも「ヒュミント(HUMINT)」とは、
Human Intelligence
=人的諜報(じんてきちょうほう)のこと。
人を観察して得た情報、人を通じて聞き出す情報、現場の空気、温度感…
といった “生の情報”を人から得ること全般を指します。
勘の良い方は気づかれたかもしれません。
「あれ、これって普段のリサーチと変わらないのでは?」と。
たとえば、あなたがクライアントさんと話すとき、
その場の空気感、ちょっとした表情、口調の変化。
数値やアンケートには出てこない“現場の情報”を拾ったりしていませんでしょうか。
それ、まさにヒュミントです。
ちなみに、ChatGPTに「ヒュミントとは?」と聞いてみましたところ、
こんな答えが返ってきました。
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「人の中」にある、生の情報や空気をキャッチする力。
情報収集の中でも、もっとも“現場的”で“人間的”な領域です。
AIやデータが進化してもヒュミントは残り続ける「最後のリアルな情報源」と言えるかもしれません。
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…深い。
そして、今後も重要であり続けるスキルと言えそうです。
また、タイトルには「籠絡(ヒュミント)」とありますので、
今度は籠絡(ろうらく)の方を辞書等で調べてみました。
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籠絡(ろうらく)
= 人をうまく言いくるめたり、 まるめこんだりして、 自分の思いどおりに動かすこと
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とのこと。
極限レベルで活動するスパイがどう人を見抜き、味方につけ情報を得ていくのか?
そんなヒュミントの実践手法を知ることができるならこれが読まずにはいられようか、否、いられません!
とはいえ、一つだけ最初にお伝えしておくと、これは冗談抜きで「悪用厳禁」な内容です。
“煽り” ではなく本気でそう思いますので、読まれる方は、高度な倫理観と
職業人としての矜持をもって読み進めていただければと切に願います。
本書の冒頭は、ヒュミントの歴史や各国の諜報活動が語られますが、
第2章からは現場で使えるノウハウに入っていきます。
たとえば、人の心をつかむための6段階の信頼構築プロセスや、
人を籠絡するための弱点としての「MICE」
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(1) 金銭(Money)
(2) 思想・信条(Ideology)
(3) 名声や信頼の危機(Compromise)
(4) 欲求(Ego)
引用「謀略の技術-スパイが実践する籠絡(ヒュミント)の手法」p.83
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ライターやコンサルタント、マーケティングな方であれば、
このあたり、心理技術としても耳なじみがあるのではないでしょうか?
コピーやオファー設計をするときに考慮される内容に近いかもしれませんね。
中でも、私が特に深く刺さったのが
スパイが何よりも「信頼」を重視しているという点でした。
タイトルに「スパイ」「籠絡」とあるので、
ついつい相手を騙したり、操る方向だけなのかと思っていましたが、
極限で活動するスパイでさえ、何よりも信頼を最優先としていることが
とても強く印象に残りました。
相手にとって“信頼できる存在になること”が最優先。
なんだかタイトルの「謀略」からは想像できない、説得力がありました。
ちなみに余談ですが、
ワタクシ、とある会合で著者の方と名刺交換をしたことがあります。
その場でも丁寧な応対をしていただきましたが、翌日には丁寧なお礼メールまで。
当時「きちんとした方だな」という好印象が残ったところ、
この本を読んで腑に落ち、深く納得しました。
この姿勢こそ、“情報の人”なのだなと。
…話をもとに戻しますと、今回の “推しポイント” は、
この、スパイが実践する「人を観察する力」「信頼を築く力」が、
そのままリサーチスキルにつながるという点です。
「相手を理解し切る」ことがリサーチの本質。
その “理解し切る”レベルがどのくらいの深さなのか?
どこまでの観察、どの文脈、どんな構造で情報を支えているのか?
スパイの実践とフレームワークからそれを学べてしまえるのがこの本の醍醐味です。
普段から「リサーチは大事」とはよく言いますが、
“どのレベルまでやるのか”という基準は、実はあまり語られていないのではないでしょうか。
本書を読むと、その基準が一段、引き上がります。
(引き上がってしまいます)
本書では、先述したように「MICE」などの
フレームワークがでてきますが、このフレームワークを使うためにも、
徹底的な相手の理解が必要なわけです。
相手のことを、その環境も含めた周辺も加味して、本人以上に徹底的に知る、理解し切る。
この「し切る」というレベルがいったいどういうことなのかを
フレームワークや図解も含めてわかりやすく説明してくれているのが、
超 “推しポイント” であります。
マーケティングの世界でリサーチが大事だとされるのは、
言葉にできない感情や本音、文脈をつかみにいくため。
国家レベルのヒュミントは、それを命がけでやっている世界です。
その熱量や緻密さに触れることで、
「自分の“限界値”って、まだまだだな…」と、その基準の高さに気が遠くなりつつ、
「まだまだやれることがあるんだ」という希望にも似た不思議な感覚が残りました。
繰り返しますが、本書、悪用厳禁です。
ですが、だからこそ、
そういう使い方をしないであろうライター、コンサルタント、マーケターの方には
ぜひお手にとっていただきたいです。
本気で“相手の世界を理解し切る”とはどういうことなのか。
この本を通して、命がけでリサーチし信頼関係を構築する世界を感じていただければ幸いです!