From:桜井啓太
恵比寿のオフィスより、、、
最近、三橋貴明さんの「真・日本近代経済史」というのを聞いています。
そこで三橋さんがポイントにしていたのが、世界の歴史は「スパイス」と「洋服」で変わっていったということ。
大航海時代がはじまったのって、そもそもスパイスが原因なわけです。ヨーロッパ人が肉の保存やおいしさのためにスパイスを求めて船を出した。その結果がコロンブスのアメリカ大陸再発見であり、ヴァスコ・ダ・ガマのインド到達なわけです。
それからイギリス人がインドのカルカッタで見つけた綿製品、通称「キャラコ」が産業革命を起こしたこと。当時、毛織物ばかり来ていたヨーロッパ人にとって、綿織物というのは驚くべき着心地だったようです。
つまり歴史を変えたのは…
まとめると、ヨーロッパ人の「食欲」や「より肌触りの良い服を着たい」という欲求によって、世界が大きく変わりました。
決して、「世界征服だ!」などという野望があったわけでもなく。
はたまた、「神様の意志」といったものが歴史を動かしたわけでもなく、、、
ただ単に、「人間の欲望」が世界を変えたのです。
もっと言い換えるならば、「ビジネス」とも言えます。ヨーロッパにスパイスの需要があるということは、何とかスパイスを持ってくれば「売れる」わけです。そのために、当時の人たちは危険もかえりみず航海に出ました。その頃はもちろん今のような船ではありません。帆船ですから、風頼み。教科書には航海の成功例ばかり載っていますが、その影に何倍もの失敗例、すなわち人の死があります。
綿織物を求めたのも「いい服を着たい」という気持ちからです。「現代広告の心理技術101」によれば、人間のもっとも根源的な欲求である「Life Force 8(LF8:生命の衝動)の中には「快適に暮らしたい」というのがあります。だから「より心地よい服を着たい」というのは、ごくごく当たり前の、立派な欲望です。
ただし、当時のイギリスでは綿織物を製造するコストが高かったのです。インドではイギリスの「6分の1」のコストで綿製品がつくられていました。結果、インドからの輸入に頼らざるを得ず、イギリス国内では失業に苦しんでいました。
だったら自分たちでもっと安く服をつくれるようにしよう。その思いから、力織機や蒸気機関などが生まれていきました。
なんていうか、「快適に暮らしたい」というだけで発明をし、世界の歴史が変わってしまったのです。テクノロジーの発達、それからそれに付随するビジネスは、いつだって人間の欲望がはじまりなのです。
湯船につかりたいからここまでやる
もう1つ、快適な暮らしを求める力がここまですごいのか、と感じた例があります。
下の動画をご覧ください。
実は先週金曜日、「国際福祉機器展」というものに行ってきました。クライアントさんに介護関連の企業がいて、この度東京で開催されるこの展覧会に来るということでした。最新機器が目白押しだということだったので、カメラマンとしてついていったのです。
そこで見た福祉機器の中で、一番驚いたのが上の機械。つまり全自動入浴装置です。
「確かに入浴はしたいけど、ここまでの機械を使うなんて…」というのは、あくまで健常者の考え方。高齢者・障害者の方にとって、バスタブに入るというのは重労働です。
足を上げて浴槽をまたぎ、湯船に身体を沈める。足腰が元気でない高齢者には大変です。介護でやるにしても、人間の身体は意外と重い。イメージしてもらえれば分かりますが、抱えて湯船の底の位置まで持ってくるなんて、とんでもなく不自然な体勢になりますよね。
でも、湯船には入りたいんです。それができないなんてイヤ。確かに私も、考えてみれば「もう一生湯船に入れないよ」って言われたら、「でもなんとかしてでも入りたい」って思うかもしれません。
そこで開発されたのが、動画にある機械というわけです。
セールスライターの意識は高すぎる
私たちセールスライターは、普通の人とは目のつけどころが違います。違うからこそ、日々の生活では孤独に苦しみます。セールスライティングについて理解してくれる人なんて、日常生活では「出会わない」という人が大多数だからです。
しかし、それは裏を返せば「私たちの意識が高すぎる」ということにもつながります。一般の認識とは、もうだいぶ違うのです。だから、社長にいくらマーケティングの話をしても分かってくれませんし、セールスレターを書くときに、商品がどれだけ素晴らしいかを「レベルの高い言い方で」書いてしまいます(だからそのレターは売れません笑)
この記事だって、いきなり世界史の話からはじめてみました。別に難しくしようと思ったわけではなく、「いま私にこういう気づきがあったから書いた」というのが本音です。でも、ちょっと難しかったかもしれません。
そんな記事をここまで読んでいるあなたは、たぶん「難しいことを理解しようとできてしまう」のでしょう。だけど、一般人はそうとは限りません。
話を戻すと、
シンプルにターゲットの感情を理解しよう
売れるセールスレターの条件、すなわち「読み手の感情にアピールする」ためには、(いい意味で)単純な欲望を意識すればそれで十分だということになります。
何も、三つ星級のレストランで食事をしたいわけじゃない。腐った肉を食べたくはない、というだけで、死を恐れず航海に出たヨーロッパ人。
肌触りの良い服を安く買いたい。それだけのために産業革命を起こしたイギリス人。
そして現代。楽に湯船につかりたい。それだけで介護業界では、日進月歩の技術開発が行われています。
私たちセールスライターは、もしかしたら自分の書いたレターが歴史を変えるかもしれないと期待しつつ、とにかく目の前の人間の感情や欲望を理解するためだけに、今日もカタカタキーボードを打つわけでございます。
PS
セールスライターというと「独立起業」という切り口で入ってこられる方がめちゃくちゃ多いです。でも、そもそも独立起業ができる人なんて限られている。これまでこの業界はずっと独立起業についてコンテンツがつくられ続けてきましたが、それって「意識高すぎ」だったんじゃないかと私は思います。
そこで、今回の記事じゃないですが、「別にもっと気楽にやりたいだけなのでは?」と思うようになりました。もし、あなたも同感なら、この記事も見てみてください。