はじめまして、デザイナーの甲斐陽信といいます。
KUSUNOSE&CO.で専属のデザイナーをしてます。
セールスライターもデザイナーも、
「広告を通して価値を届けて、顧客に喜んでもらう」という、
共通して目指す場所がありますよね。
しかしライターではない、デザイナーであるからこそ見える
セールスライターの姿というものがあります。
今回はセールスライターという人種を、デザイナーという虫メガネを通して覗いてみましょう。
前職で経験した「デザイナー」の仕事とは…?
前に務めた印刷会社では、デザインも広告もよく分からない人達から原稿を受けて制作することがほとんどでした。
例えばクライアントの社長さんやクライアントの担当窓口の方、もしくは営業部の人などなど。
これは本当によくある話で、超一流企業と選りすぐりのデザイナー達を集めた広告代理店でもなければ、この構図は変わらないと思います。
そんな方々の、言ってみれば(大変失礼で恐縮ですが)「へちょい」内容の広告を、なんとかカッコ良く見せてクライアントにOKを出していただかなければいけません。
- この内容でどう魅力的に見せればいい…?
- なんとなくイケてる風に飾りまくるしかないか
- 自分が作りたいものって、こんなんだっけ…
- (大手の広告を見て)こんなカッコ良い広告、作ってみたいなぁ…
- 超頑張って作ったけど、効果上がらかったみたい。…まぁそりゃそうだよね。
こんな事が多過ぎて、だんだんと「デザイン」に価値を感じなくなり、夢を見なくなり、クリエイティブで楽しいはずの制作は「作業」でしかなくなっていく…。
それが前職までのデザイナーの仕事でした。
えっと…、つまりどうすれば良いんですか?
「へちょい」内容のデザインの依頼って、こんな感じです。
例)工業製品を売るチラシ
製品の写真がこれね。「ナンヤコレ・セブン」って名前の製品、かっこいいっしょ。スペックはこんな感じ。1000Wで48時間くらい動くの。しかも出力調整がこんなにできる。すごくない? これめっちゃ使いやすくて良いやつ。この部分はウチの特許だから、これ書いてね。値段はこんくらい。割引? なにそれしなきゃいけないの?
さて、このチラシを作るなら、あなたならどうしますか?
凡庸な「単なる作業系デザイナー」の仕事
待望の新商品!「ナンヤコレ・セブン」!
写真ドーン!
1000Wで48時間連続可動OK!
100~1,500まで出力調整機能搭載!
弊社独自の特許技術で使いやすい!
スペック表(サイズ・規格・品番など)
なんとお値段、258,000円!(爆弾ドカーン!)
世間に価値を届けたいデザイナーが苦心して考えること
これ買う人ってどんな人達だろう(デザインの味付けの方向を決める)。
これってどんな場面で使うもの(メイン写真のアイデアを探す)。
何が便利でどう使いやすいのかな(紙面の中で扱いの優先順位を決める)。
他の製品調べたら、あんまり安くはないなぁ…。値段は控えめに載せよう。
その代わり高級感を出して、高品質で良い買い物をできそうな見た目でいこう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~~に最適、これでもう煩雑な~~とはサヨナラ
新商品「ナンヤコレ・セブン」
(使用する場面の写真)
通常規格のコンセントでも充電可能な1000Wの電力。
48時間連続可動できるから、野外での作業をするにも充分な電気容量。
この製品がひとつあれば、他の△△や□□はもう不要。
晴天モードも雨天モードもワンタッチで簡単操作。
軽自動車の助手席にも入るサイズだから、場所を取りません。
洗練されたデザイン。
ワンランク上の◯◯◯体験で、あなたの仕事をもっと高品質に。
スペック表(小さく) 258,000円
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一緒に仕事をするなら、絶対にセールスライター
おわかりですか?
これ、セールスライターの人だったら、もう全部考えてくれてますよね。
私は今こういった事を考える苦しみから解放されているので、
あとは製品の持つ魅力が伝わるように視覚化する事に集中できています。
これこれ、これこそデザインの仕事ですよね!
って喜びながら、デザインできます。
デザイナーにとってセールスライターという人種は本当にありがたい存在です。
その理由は挙げればキリがありません。
- ターゲットがしっかりと決まっている
- どんな広告を、どこに出すべきか明確に決められている
- 内容に意図と狙いを込めている
- ピクチャーしている
これらは、デザイナーにとってありがたいことばかりです。少なくとも私が以前居た職場では、こんな原稿を書いてくれる社長さんはほとんど居ませんでした。
そりゃまぁ、良い事ばかりでもありませんが…
もちろん、セールスライター独特のクセというか、やりづらいこともあります。
A4で作るのに文章多すぎるよ~、メリハリがつけられないじゃん、とか。
この部分、まるっと写真で説明できちゃうから省いちゃ駄目? とか
あとは、紙面の目的がハッキリしているので、装飾で「テキトーなごまかし」が通用しないことでしょうか。
でもそれは、「限られた文字数と紙面の広さで、いかに魅せるか」というセールスライターとデザイナーの共通の葛藤であって、より良い広告にする為には必要なものです。
それに見た目を派手に見せたり、無理してスタイリッシュにカッコつけたり、嘘をつかずにデザインできることは、デザイナーにとっては幸せです。
セールスライターの皆さん、お願いします!
セールスライターの皆さんに良いコピーを書いてもらえると、デザイナーはより高次元で、楽しくクリエイティブな仕事が出来るので、勉強になりますし技術も上がります。
皆さんが書く素晴らしいコピーの数々は、
世の中のデザイナー達を喜びで満たし、デザイナー達にとって最適な仕事環境をも作り出してくれるんです。
P.S.
なぜセールスライターはデザイナーに最適な仕事を与えてくれるのか。その秘密は、どうやらココにあるようです。