どうも、デザイナーの甲斐陽信です。
実は私には三人の兄がおりまして
男四人兄弟、それぞれが固有の性格と特性を持っています。
その兄の一人が、私と同じように
デザイン制作の現場に勤めているのです。
オフラインとwebの違いはありますが
よくデザインの話で盛り上がったりします。
そのデザイナーの兄と話しているところを
また別の兄が聴いていると
「一体何の話をしているんだ」と
会話の内容を理解できないということがたまにあります。
きっとどんな職種でも同じようなことがあると思うのですが
デザイナーにも独特の言語空間というものがあるようです。
今回はそんな
ちょっと不思議で面白い「デザイナー語」と
それによる失敗談をご紹介したいと思います。
まるで外国語?
デザイナー語【その1】
デザイナー仲間とゲームセンターで
UFOキャッチャーに興じていた時です。
昔とは違って、アームは縦軸と横軸を一回ずつ操作するというものではなく
何度も調整をした上で、決定ボタンでアームを下ろせる仕様になっていました。
狙った場所にアームが降りるように何度も調整していたのですが
どうにもウマい場所に決まりません。
「どしたん、攻めあぐねてるな」
「なんかコレ、1ピクセルが大きいねん」
「そうなん?」
「そう、ホラ、ホラ(ちょっとずつ動かす)」
「ホンマやな、解像度アラいんか……」
この時の会話は
「機械の制御するアームが可動する座標の最小単位が大きいので、
微妙な位置の設定ができないから難しい」
というようなことを言っているのですが、ちょっと特殊な言い回しですね。
デザイナー語【その2】
これもとあるデザイナー同士の会話です。
「もっと薄めの調子がいい」
「具体的に」
「藍減らす」
「RGBで納品だよ」
「じゃあ明度上げて、彩度下げる」
「こんな感じ?」
「もうちょい温度上げる」
「こんな感じ?」
「強い」
「こう?」
「そんな感じ!」
実はこれ、色を決める時の会話なんです。
簡単な日本語しか使っていないのに、
まるで異国語のような会話ですね。
デザイナー語【その3】
最後に私が先輩に言われていたデザインの指摘です。
「遊びすぎ」 ←装飾が過剰すぎる
「ネムい」 ←単調でメリハリが効いてない
「裏面っぽい」 ←見どころが少なく、最初に読みたい箇所がない
「パラパラしてる」 ←紙面の要素にまとまりがない
「ワクワクし過ぎ」 ←ケイ線や四角で囲む装飾が多すぎる
「読みにくい」 ←読みにくい
今でこそ何が言いたくてどうすればいいのかはわかりますが、
駆け出しの当時は理解するのが大変でした。
専門用語や特殊な言い回しは使い慣れるほど注意
もちろんこんな言語空間は
同業者や仲間内でしか成立しないので
部外者やましてやお客様の前では口にされないようにお気をつけください
取引先どころか、制作とは違う部署の人とも使わない方がいいのではないでしょうか。
誤解を招いたり、伝わらなかったりすると、製品に不備が出る要因となりえます。
お客様の前で気にせずそのまま喋り続けたりしてしまうと、不興を買ったりしたあげく
信用を無くして仕事を失ったりということになりかねません……。
具体的な話は差し控えさせていただきますが
デザイナーの失敗話として知っている例を挙げると
デザインについて打ち合わせしている場面で
お客様「これをこう使いたいんだけど」
デザイナー「そうなると、〜(デザイナー語)〜が〜(デザイナー語)〜になっちゃいますよ?」
お客様「はっ?」
デザイナー「いや、もしお客様が〜(デザイナー語)〜っぽくしたいのであれば、それは〜(デザイナー語)〜にした方がいいと思うんです」
お客様「え、いや。は?何?」
デザイナー「あ、もしかして〜(デザイナー語)〜の方にしたいって意味ですか?」
お客様「………」
となってしまって
「あ、ダメだコイツ会話できねぇ」
「やりとりするのも面倒くさい」
って思われてしまい、次第に付き合いが無くなっていく………。
こんなことだってあるようです。
(以前取引のあった個人デザイナーさんの話)
この方も(私も様々なことを教わったとても上手なデザイナーさんでした)
別に業界人ぶってお話されていたわけではないと思うんです。
ただ、今までは制作会社や印刷会社の下請けとして仕事をしていた分、
【制作現場ではない人】と打ち合わせをする機会がなかったようで
「気ぃつけや」と教えてくださいました。
とはいえ、概念的なものや説明が必要な事柄を短く適切に表現できるのも事実。
便利な言葉だけに、ついつい口を突いて出てしまいがちですよね。
セールスライターのみなさんも
クライアントさんや取引先の方に専門用語を使いすぎるのはご注意ください。
あくまで平易な言葉使いで表現できるように
普段から語彙力を深めなければいけませんね。