2024/04/03

ある広告が世界的に注目された理由

From 古川馨

最近、広告クリエイティブを
レビューする機会が多いため
世の中にある広告を
よく注目してみています。

ネット広告はもちろん、
アプリに挿入される動画広告や
オフラインの広告

電車やバスに掲載されているものや
街中で見かける看板やポスター。

どんなものがあるのか?
というのはもちろんなのですが

注目するポイントとして、

どんな風にアテンションを
引いているのか?

を中心に見るようにしています。

やっぱり、広告は見られて
なんぼですからね。

世の中には無数に広告がありますが
その中でついつい見てしまうものなんて
ごくごく少数。

それ以外って、ほぼスルーしていますよね。
そんな中でも思わず見てしまった…とか。
気になってクリックしてしまった…とかって
きっと何か仕掛けがあったり、
興味を引くトリガーがあったはずです。

それが何なのかを意識して見ていくことで
自分が広告を作るときにネタになります。

なので、何に興味を惹かれたのか?
なぜ目を止めたのか?を
考えるようにしています。

そして、最近、ネットを調べていて
興味を惹かれたのがこれなんですが
知ってます?

バス停に設置されている
ガラスのオブジェクト。

でも、これ。
ただのオブジェクトじゃないんです。
広告です。

2015年くらいにカナダのバンクーバーに
設置された広告なんですが

一体、何の広告かというと…

3Mという会社の防弾ガラスの広告。

つまり、これ。
防弾ガラスで作られたオブジェクトなんです。

そして、よく見るとガラスの中に
お札が入っているのが見えますよね。

防弾ガラスの中にお札がたっぷり。
日本円にして約3億円が入っているそうです。

そして、3Mはこのオブジェクトの広告で
何をアピールしているかといえば…。

「うちの防弾ガラス、壊せるもんなら壊してみろ!」
ってPRをしているんですね。

防弾ガラスだけに、
頑丈さをアピールしているわけですよ。
面白いと思いませんか?

公共の場所にガラスに入れられた3億円。
普通に考えたら、いつ取られてもおかしくない。
特にこれは外国です。
日本ほど治安は良くない。

格好の標的です。

海外だと日本と違って自動販売機が壊されて
お金を取られちゃうくらいですから
こんなオブジェクトがあったら
あっという間に壊される~って代物です。

ですが!それを逆手にとって
「もし、壊せたら、中のお金をあげるよ」と
アピールをしている広告なわけですよ。

強気ですね~。

それくらい防弾ガラスの性能に
自信があるってアピールです。

めちゃめちゃ、インパクトあります。

まず、お金が入っているのが見えるし
「なんだこれ」と興味をそそられる。
そして、さらに「壊せるもんなら壊してみろ」と…。

これは話題になるのが想像できます。

実際、この広告宣伝は大成功したようで
瞬く間にFacebookやTwitter、InstagramなどのSNSで拡散。
世界中から多くの注目を集めることになりました。

そして、このバス停には
続々と挑戦者が殺到したんだとか。
今なら、バズ目的でさらに人が殺到しそうです。
ショート動画のネタにもなりそうですしね。

事実、当時もメディアから注目されて
いい宣伝になったとのこと。

この広告の面白いところは
記憶に残るインパクトとエンタメ感。

単にガラスのオブジェクトに
お金が入っているだけだったら、
それほど注目されなかったかもしれません。

ですが、そこにエンタメをプラスした。

「壊せるもんなら壊してみろ」

この好奇心をそそるような
挑戦のストーリーをプラスした
エンタメ性がキモです。

これによって、
「よし、壊してやる!」
「面白そう、やってみよう」
という反応をする人が出てきて
多くの人が注目することになった。

結果、3Mの認知度は上がり
商品の話題性も高まる。
広告としては大成功です。

バズらせるのが真の目的ではありません。
ですが、注目されなければ
何も起きないのも現実です。

スルーされる広告に価値はありません。
どんなにいい商品を宣伝していても
誰にも知られることがないからです。

世の中で注目されている広告は
どんな風にアテンションを
引いているのか?

なぜ、自分はその広告を
ついついクリックしてしまったのか?

ちょっと、これらを意識して
世の中の広告を見てみてください。

自分が広告運用をする上でのヒントが
たくさん隠れていますよ。