
こんにちは。株式会社バリューイノベーションジャパンのリサーチャーXです。今回の推し本はコチラです!
■ 生成AIで強化するSEO戦略
―品質・効率・コストを改善するAIファーストアプローチ
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エンジニアさんにはおなじみ、オライリー社から出版されている本書。タイトルにあるとおり、生成AIとSEOがテーマです。こちらの本、とくにどんな方にオススメしたいか。
ズバリ!
めちゃくちゃ専門性を持ってるのに、アウトプットのイメージが湧かない人です。
専門的な知識や豊富な現場経験があるのに、アウトプットがとにかく苦手……という方。結構少なくないのではないでしょうか。たとえば、現場でヒアリングしたり、雑談したりしていると、
「それ、絶対に世の中に伝えた方がいいですよ!」
「なんて興味深い視点なんだ!」
と唸らされることが多々あります。ですが、ご本人は「いやいや、大した事ないから」と謙遜されたり、どう言語化して伝えたらよいかわからず、その“お宝”を脳内に眠らせたままにしてしまう。そんなもったいない状況を打破したい方、朗報です。
本書には、生成AIを使って「アウトプットを助けて加速させてしまう方法」が、具体的かつ網羅的に書かれています。しかも、ただ文章を書かせるだけでなく、必要としている人に価値を届ける「SEOの手法」としてまとめられているため、そのままビジネスの成果につなげることができるのです。
ただ正直なところ、技術書界隈で “鈍器”と恐れられる(?)オライリー本なので、読みこなすのはちょっとだけ大変です。(ちなみに本書は物理的な厚みはありませんのでご安心ください)
ですが、その大変さを乗り越えてでも読む価値が十二分にあります。たとえば、翻訳本ゆえにプロンプトが英語と併記されているところ。これがいいのです。
経験がある方もいらっしゃるかもしれませんが、生成AIの元ネタになっている学習データは英語が圧倒的多数。そのため、日本語でたずねるより英語でプロンプトを投げたほうが、回答の精度が上がることも少なくありません。同じことを指示するにしても、「なるほど、英語ではこういうニュアンスで投げるのか」と、一粒で二度おいしい学びがあります。
そして気になるその内容ですが、
・SEOや生成AIの現在地・背景
・SEOでの各生成AI(ChatGPT・Gemini・Copilot・Claude)の使い分け
・各生成AIの、同じプロンプトに対する出力差の検証
・SEOコンテンツの手順と価値アップ法(超具体的!)
・スキーマ(検索エンジンに内容を正しく伝えるためのラベル付けみたいなもの)作成などテクニカルSEOのやり方
・RAG(検索 + 情報をAIにわたす + 生成)の構築
・生成AIエージェントの役割分担
(SEOアナリスト・リサーチャー・ライター・コンテンツエディター)
・AIでローカルSEOを自動化する方法(必見!)
実際の現場でSEOやAIに向き合っている方なら、「え、それ知りたい」となる内容ばかりではないでしょうか?
こんなふうに網羅性と具体性でオススメな本書。今回、ワタクシ的な推しポイントが2つあります。1つ目は、序盤に登場するGoogleのアルゴリズムについての解説です。謎が多い(?)Googleのアルゴリズムですが、本書がそのメカニズムを解き明かす根拠としているのが、
2023年にGoogleが米国司法省に提出した証言
(司法省に行ったプレゼンスライド)
なんですね。これ以上信憑性のある一次情報がありましょうか!この部分を読むだけでも、本書を買う価値があります。
このパートでは、Googleがページ内でのユーザーさんのインタラクション(行動や操作)をいかに重要視しているかが語られます。サイトでもLPでも、「ユーザー体験(UX)が大事だよ」と言われて久しいですよね。言われていることは頭ではわかる。でも、いまいちしっくりきてなかったんですね。ですが、今回、この司法省への証言を読んで「あ、Google本気なんだな」とストンと腑に落ちしました。
たしかに、Googleタグマネージャーでタグの発火状態(プレビュー)を確認していると、ユーザーの操作と同時に「Click」や「Scrolls」といったイベントがものすごいスピード感で記録されていきます。「あのスピードと精度で情報を吸い上げ、評価しているんだな…」と、今更ながらGoogle恐るべし、と感じました。
そして最大の推しポイントの2つ目は、「人がレビュー(確認・編集)しろ!」とひたすらに強調されているところです。体感的に2ページに1回の割合で出てくるんじゃないかと思うくらいの頻度。
これに関して、先日参加したGoogle主催の生成AIセミナーでも、講師の方が「ヒューマン・イン・ザ・ループ(Human-in-the-Loop)」という言葉を何度も何度も強調しておられ、本書の主張も、まさにこれに通じます。
ヒューマン・イン・ザ・ループ。ざっくり言うなら、「AI任せにせず、人が間に入ってチェックして、精度と価値を担保せよ」という感じです。
ハルシネーション(もっともらしい嘘)を防ぐためという理由もありますが、本質はそこではなく。SEOの目的、つまりGoogleが目指すところはユーザーさんへの価値提供なんですよね。
生成AIは膨大なデータを学習して出力しますが、言うなれば、これってこれまでの既存情報の焼き直しです。それだけになってしまうと、その行き着く先でユーザーさんに本当の価値を届けることは難しい。
だからこそ、人が間に入り、(ヒューマン・イン・ザ・ループ)その人にしか出せない独自性や専門性を加える。そうすることで、情報を求めている人に対してよりピッタリの価値を届けられるわけです。
本書で何度も繰り返される
レビューしろ!
レビューしろ!
レビューしろ!
のシャワーを浴びまくり、その点がとてもしっくりきました。生成AIが、作業的な部分をまるっと引き受けてくれる。だからこそ、私たちは、「ユーザーさんや目の前のお客さんにとっての“本当の価値”って何だろう?」という問いに、じっくり時間をかけて突き詰めることができる。
SEOというと、その昔はアルゴリズムの裏をかくようなブラックハット的な視点で語られることが多い印象でした。ですが、生成AIという強力なツールを手に入れた今、それをさらにブラックな方向に使うのではなく、
「その人だから出せる」価値
「その人にしか出せない」価値
を乗せることにフォーカスしていく。これは、ビジネスとしてとても真っ当で、ワクワクする世界線です。
・脳内に素晴らしいお宝(専門性・独自性)を眠らせている方
・クライアントさんのそのお宝を世に引っ張り出そうと奮闘している方
ぜひ本書をお手にとって、生成AIのチカラで爆速化できるところは徹底的に効率化し、空いた時間で「本当の価値」と泥臭く向き合ってみてください。きっと、これからの時代も勝ち続けられるはずです!(いや、勝ち続けてほしい!)


