「最近の若い子って、すぐに辞めちゃうんだよね」

先日、
ある旅館の採用責任者と話していたとき、
そんな言葉がぽろっとこぼれました。

そんな言葉を、あなたも
どこかで耳にしたことはありませんか?

確かに今の子は

・社会経験の少なさ
・対人スキルの未熟さ
・アルバイトさえ経験していない学生も少なくない中で、
 いきなりお客様の前に立たされる
・当然、クレームや理不尽な場面に耐えられない

という背景の子が増えていることも事実です。

でも、
それって本当に“若者の問題”なんでしょうか?

実は、そこには
もっと深い背景があるようにも思ったんです。

たとえば、その旅館では、
数年前までなら新卒でも3年くらいは続いていたそうです。
けど今は、1年どころか、数ヶ月で辞めてしまう。

理由はさまざま。

「朝が早い」「夜が遅い」「土日休めない」
「夜遊びができない」「SNSで自由に発信できない」…

だけど、
辞める本当の理由は、
「仕事がキツいから」だけじゃありません。

その責任者は、こんなふうに教えてくれました。

「最近は、社会経験が浅すぎて、
 “そもそも働くってどういうこと?”
 ってところから始めないといけない。
 アルバイトの経験すらない子もいるし、
 人との距離感やクレーム対応が
 できない子も多いんですよね」

つまり、
“能力”の問題ではなく、
「覚悟の準備ができていない」ということ。

ちなみに、ここの旅館では、
中途採用のほうがうまくいってるそうです。

なぜか?

それは、
一度人生での『痛み』を経験してきた人のほうが、
『違い』がわかるからだそうです。

何より僕が心に残ったのは…

「定着するのは、
 むしろ“人生に疲れて逃げてきた人”なんですよ」

という言葉でした。

・生活に困っている人
・借金を抱えていた人
・DVや離婚で行き場を失った人

ちょっとキズがある…
そんな背景を抱えた人ほど、
「ここにしか居場所がない」って腹を括る。

そして、ちゃんと続けてくれるそうです。

だからこの旅館は、
寮や食堂も完備して、
「人生を立て直せる場所」を整えてあげています。

結果、生活コストを抑えられて、
お金も貯まるし、心も安定していく。

つまり、仕事を“条件”だけで見ている人よりも、
人生を“再スタート”させたいと思ってる人のほうが、
ずっと強い。

逆に、「ちょっとやってみようかな」っていうノリの人ほど、
辞めるのもあっという間です。

じゃあ、そんな人たちと出会うには、
どこで採用すればいいのか?

彼らが大事にしているのは、
チャネルの1つが、ハローワークでした。

・20年の付き合いがあり、信頼関係がある
・職員さんが熱心に紹介してくれる
・70代の方でも採用してる

こうした長年の信頼があるからこそ
ハローワーク側も
旅館のことをわかってくれている。

だから、お互いが持ちつ持たれつで
うまく採用チャンネルとして
機能しているそうなんです。

逆に、ナビサイト(リクナビ・マイナビ)なんかは、
費用ばかりかかって、応募が来ても“来ない”。

しかも、、、
実際に応募率だけを高めることを目的にした
サクラ応募者も実際にかなり多く、
当然、定着率もしない、、、
なんて業界の闇は、いまでもあるそうです。

だからこそ、
「やっても疲れるだけ…」と、
その旅館では、今はもう手放していました。

けれど、そんな中、
彼らが今、本気で取り組もうとしているのが…

「自分たちがどんな人を求めているか」を
ちゃんと“言語化”し、発信していくこと。

これは、まさに
僕たちVIJの採用マーケティングの考え方でもあります。

つまり、
『誰でもいい』採用ではなくて、
「うちには、こういう人に来てほしい」と明言していく。

そのうえで、動画を活用したり、
採用専用のホームページを作ったり、
SNSやハローワークと連携して、
「うちの価値観に共感してくれる人」に届けていく。

この『前向きなミスマッチ排除』こそが、
やっぱり、これからの採用の本質なんじゃないかと、僕は思います。

もしあなたが今、
採用・求人に関わっているのなら、、、
求人コンサルとして
一歩踏み出していきたいのなら、、、

「自分たちがどんな人を求めているか」
そこを言語化する準備がきちんとできていますか?

その下準備がまだ曖昧だとしたら、
採用はいつまでも「賭け」のままです。

「選ばれる会社になる」には、
まずは、自分たちが「どんな会社なのか」を語らなければいけない。

求職者へ
「ここで働く意味」を届けられそうですか?

もし、まだ難しそうであれば
いきなり求人広告を出すのではなくて
『言語化』するところから、始めてみてください。

結局、採用の答えは
求職者の“今”を知ることが、はじめの一歩になりますよね。