こんにちは。
リサーチャーXです。
今日の推し本はこちらです!
↓
ライター・コンサルとして
クライアントさんに戦略や企画を出したり、
またそこまで重くなかったとしても
改善や打ち手の提案をする機会ってあるかと思います。
そんなとき。
もし、たびたび
「提案内容が骨抜きにされてしまう…」
「クライアントさん自身はOKしてくれたけれど、
いざ実行しようとしたら
実行部隊(組織)が動いてくれない…」
といった悩みがあったら、
こちらの本、手に取ってみてください。
企画提案がうまくいかないと
ついつい
「企画書の作り方、内容が悪いのかな…」
と“まず企画書ありき”の前提に
なってしまっていることがあったりしますが、
そんな前提をドカーーンと
打破してくれること受け合いです。
本書は、いわゆる
「企画書にはこの項目が必要!」
「企画はこのテンプレを使って」
といった類のものではありません。
企画というものに対して、
一段上に上がって
そこに渦巻く力学の全体を眺める
一段下に潜って
そこに漂う、関係者の感情を見つめる
そんな視点を与えてくれるものとなっています。
そういった意味で
全編に渡って必読なのですが、
今回のワタクシ的推しポイントは、
著者の方の徹底した “言葉の定義” です。
たとえば、
企画を「考える」とき。
この「考える」という状態を
表すことはいくつかありますが、
本書では
「妄想」「発想」「構想」を使い分けています。
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「妄想」は、どこか馬鹿げたアイディアで、話す相手によっては嘲笑されてしまいそうなものだ。(中略)それが、「発想」となると、妄想に比べて理論武装され、その価値が他人に客観的に証明できそうなものだ。そして、「構想」ともなれば、自社や自組織の能力、財源などの要素を加味して、その実現可能性が見えてくる。
引用「戦略企画: なぜ、あなたの企画は通らないのか?」p.38 より
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どうでしょう?
あなたが企画を「考える」をやっているとき、
「妄想」でしょうか?
それとも「発想」?
さらに進んで「構想」まで?
私は、ここまで明確に
定義してもらったことで
「今、自分は『妄想』をしているんだな」
「『発想』はしているけれど
『構想』までは持っていけていないな」
といったように、
今の自分の状態を把握して、
何が足りていないのか?何を満たせばいいのか?
の現在地を確認することができました。
本書では他にも
・「仕事」と「作業」
・「問題」と「問題点」と「課題」
・「改善」と「解決」と「解消」
・「改革」と「変革」
・「目的」と「目標」
・「取引」と「商い」と「事業」
・「新発見」と「新常識」
・「アプローチ」と「スケジュール」
といったように、
それぞれの違いが言語化されています。
ざっと眺めると、
毎日現場で当たり前のように
使っている言葉だったり。
ページをめくるたびに
この一つ一つに触れ、
「なんとなく同じように使ってしまっていたな」
と反省しつつ、
気付きを与えてもらいました。
それぞれの定義に対して
自分を当てはめてみることで
前述の「妄想」「発想」「構想」と同じように
自分の中の思考が
整理整頓される感覚があります。
散らばっていたおもちゃが
おもちゃ箱にスルスルと吸い込まれて
片付いていくような感覚といいましょうか。
今、自分がどの状態にあって、
何をしているのか、どこを目指しているのかが
くっきりハッキリする。
とらえどころのない霧の中を
ボンヤリ進むのではなくて、
自分の中で視界が開け、
「こっちでいいんだ!」と
進む方向がわかり、歩んでいるという感覚です。
ぜひ本書を通じてこの感覚を
味わっていただきたいです!
・・・
今回の推しポイントでもあります
言葉をどういう意味で使っているか?
言い換えるなら
言葉を介して “前提” をどう捉えているか?
これって自分で思考するときだけでなく、
相手がいる場合には特に大事にしたいところです。
意外と見過ごされがちですが、
私自身、かなり重要視しているポイントでもあります。
“前提”
たとえば、
・ドッジボールをするときに顔面はセーフなのか?
・カードゲームの大富豪(大貧民)をするときに革命はありか?
・今川焼、回転焼、大判焼は同じものを指しているか?
いわゆる地域ルール、諸説ありで
解釈が分かれるものたちですが、
ゲームを始める前にこれらの点を確認しないと
そもそも勝つための道筋が立てられませんし、
“前提” が違っていたら、
目指すゴールに向かうための
議論がかみ合わなくなります。
議論する相手と同じものを見ている
同じものをイメージしている、
という “前提” をすり合わせることで
途中で噛み合わなくなったり、
認識や解釈のズレでゴールが
遠く離れてしまうことを防いでいます。
ただ、ですね。
これ、現場では結構嫌がられます。
実際に会議やミーティングの場で
「前提は◯◯ということで良いでしょうか?」
「◯◯ってこういう認識で合っていますか?」
と確認すると
「そんなの感覚だよ」
「当たり前のことを聞かないで」
とウンザリされたり…。
もちろん、わかってはいるんですよ?
「言外に◯◯が前提になっているんだろうな」
「きっとこういう意味で使っているのかな」
と想像はできるのです。
ただ、この「想像」が危ない。
自分の勝手な思い込みかもしれないですし、
自分と相手のイメージしているものが
同じとは限りません。
最初は数ミリしかズレていなかったとしても、
時間の経過とともに数メートル、
数キロの違いになってしまうかもしれない。
重大な局面であれば、
なおのことです。
とくに、右腕や参謀として
経営者の方に近い場所にいればいるほど
どうしても炭鉱のカナリア、
悪魔の代弁者にならざるをえなかったり。
いたずらに批判したいわけでも、
斜に構えて重箱の隅をつついて
「はい、論破!」みたいなことを
言いたいわけでもありません。
本書の中にもありますが、
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企画のもつ戦略性は、実行の段階において減衰する。つまりは、最初に「机上では100%勝てる戦略」なくして、どうやって実行で勝つことができよう。
引用「戦略企画: なぜ、あなたの企画は通らないのか?」p.18 より
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クライアントさんや自社のビジネスでの
一つ一つの施策・打ち手の
成功確率、勝率を1%でも上げたい。
最後まで油断なく勝ち切れるように…という願い。
そこを目指すために、
“前提”を確認したいわけですが、
会議やミーティングで全体が
すでにイケイケドンドンの流れなのに
そこに水を差す行動。
そりゃもう煙たがれますし、
ガチギレされることもあります。
なかなかに切ないですね。
自分が頑張れば頑張るほど、
うっとおしいと思われてしまう…。
正直、落ち込むこともありますが、
「これが自分なりの
クライアントさんの守り方、
勝ってもらうためのやり方なのだ」
と奮い立たせながらやっています。
もしあなたが、
クライアントさんや経営者の方に対して
「机上では100%勝てる戦略」のために
ウザがられながらも地道に “前提”を確認し、
痛みや辛さを内側に隠して
今日も涼しい顔で現場に立ち続けているのなら。
私はそんなあなたの存在に勇気をもらっています。
あなたを(勝手に)同志だと思い
心から応援しています。
そんなあなたに負けないよう
私も今日も明日も明後日もウザがられながら
クライアントさんや経営者の方に
“前提” を確認し続けていきます。
言葉を扱うライター・コンサルとして
その言葉一つ一つの鋭さに磨きをかけて
自分はもちろんのこと、
相手の “前提” を正確に写し取るために。
こちらの本、超オススメです!