From:長嶋雄二
昨日の夕方、
家に帰ってきた娘が、
突然、僕にこんなことを聞いてきました。
「パパってさ、
なんでいつも洗濯物ばっかりやってるの?
ママはごはん作る係でしょ?ずるくない?」
その一言に、思わず笑ってしまいました。
「うーん、たしかにずるいかもね(笑)」
でも、少し考えてこう言いました。
「ママはごはん作るの上手だし、
パパは洗濯物たたむのが速いからかな」
とは言いつつ、本音を言えば、
僕は洗濯なんて、できればやりたくない。
でも、ママがごはんを作ってくれてる間、
誰かが洗濯物をやらなきゃ、家がぐちゃぐちゃになる。
ふとしたこの会話から、
僕は昔の自分のことを思い出しました。
今でこそマーケティングや
セールスの仕事をしていますが、
20代のころ、僕は整体師として現場に立っていました。
勤務していたのは、
どこにでもある駅前の整体院。
特別な設備があるわけでも、
TVに出るような先生がいるわけでもない。
売上も月に80万円前後。
地域の整体院としてはごく“平均的”な存在でした。
でも、ある日院長がこう言ったんです。
「夜の遅い時間って、実はニーズあるよな。
部活終わりの高校生とか、仕事帰りの社会人とかさ。」
たしかに、スポーツ競合校も近く
学生・転勤族の多い街だったので
おそらくニーズはかなりありました。
でも、僕らとしては、体力的にキツい。
そんな中で、
「嫌な予感がするな…」
と当時の僕は思ったのですが…
予感が的中して、
院長は営業時間を変えてみたんです。
夜22時まで営業。
土日もフル稼働。
そのかわり、
ターゲットを明確に絞りました。
・スポーツで本気を目指す学生
・身体が資本のビジネスパーソン
“時間がない人”にとっての、
救世主ポジションを築きにいったんです。
そこから状況が一変しました。
クチコミが広がり、
「夜遅くまで診てもらえる」
「スポーツ障害にも詳しい先生がいる」
そんな声がどんどん増え、
わずか半年で月商150万円を突破。
「やりたくない」と避けていたことが、
最大の強みに変わった瞬間だったんです。
じゃあ、これを僕らたちライター・コンサルで
考えてみるとどうでしょうか?
先日、あるライターさんと話していたときのことです。
「最近、全然うまく書けなくて…」
と、ちょっと肩を落としていたので
僕は、こう聞いてみました。
「リサーチって、どれくらいやってます?」
「うーん…30分くらいですかね。
AIでざっと情報を拾って、それをベースに組み立ててます」
それを聞いて、ふと思い出したのが、カレー作りの話。
たとえば、あなたが誰かのために「本気のカレー」を作るとしましょう。
・冷蔵庫にある野菜をザッと入れて
・ルーを溶かして10分煮込むだけ
これでも、まぁ食べられるカレーにはなる。
でも、相手の好みをちゃんと聞いて、
・辛さはどれくらいが好きか?
・具材は肉派か野菜派か?
・いつ、どんな気分で食べたいのか?
そこまで掘り下げて
その人だけの“ベストな一皿”を作ったとしたら、
きっと、全然ちがう反応が返ってくるはずです。
「えっ…なんでここまでわかってくれるの?」って。
コピーも、まさにそれと同じですよね。
AIで拾った材料を並べて
“文章っぽく”まとめるのは簡単だけど、
相手の「気持ち」や「背景」まで踏み込んで初めて、
“届く言葉”が生まれるものです。
だから僕は、そのライターさんに伝えました。
「とりあえず、リサーチに丸一日かけてみては?」
「相手の欲求を掘り出してから、アイディア考え直しましょう」って。
正直、こうした地道なことは
やりたくない作業も多いです。
でも、その“面倒”をあえて引き受けることで、
成果物の精度も、クライアントからの信頼度も
桁違いに変わります。
僕らの仕事には、『差別化』が必要ですよね。
でも、「目立つキャッチコピー」とか、
「デザインのかっこよさ」だけでは限界がある。
それよりも、
「誰もやりたがらないこと」をやる。
ここにこそ、勝てるポジションがあったりするんです。
「何を言えば目立てるか?」ではなく、
「業界の人たちが“やりたくない”ことは何か?」
この視点で、ぜひ一度考えてみてくださいね。
「やりたくない」の中に、
選ばれる理由が眠っていることもあります。
あなたの業界では、
どんな「やりたくない」ことがありそうですか?