こんにちは。
株式会社バリューイノベーションジャパンの
リサーチャーXです。
今日の推し本はこちらです!
↓
■ 社長の言葉はなぜ届かないのか? 経営者のための情報発信入門
クライアントさんの集客や販促、
プレスリリースでの情報発信や採用などの
サポートをしていると
社長・経営者・お店の方に
ヒアリングやインタビューをする機会って
少なくないと思います。
商品やサービスに対する想いだったり、
商品開発の苦労だったり、
スタッフを募集するときの胸の内だったり。
個人的には、この時間が大好きです。
なぜなら、
社長や経営者の方の本音が垣間見えるから。
もちろん、状況や距離感によって
よそ行きの言葉で語られることもありますが、
時折ポロッと紡ぎ出される本音が吐露されるときは
その方の人間的な部分が溢れ出る(漏れ出る?)ので
そこにグイグイと引き込まれるのです。
それがポジティブなものであっても
ネガティブなものであっても。
その方が、
そう思う(想う)に至った軌跡、
そう願うにようになった背景。
ときにそれは、
その方自身の半生記そのものだったりするので、
一緒に伴走しながら
深く深く潜っていくような感覚になります。
それらをすくい上げ、
ライターであれば、
会社の公式サイトやSNSでの
メッセージに載せたり、
コンサルであれば、
商品コンセプトに変換して
差別化や訴求の軸に添えたりと、
経営者の方に代わって
編集を加えるわけですが、
こちらの本はそういった言葉を
経営者自ら伝えようぜ、というお話です。
私自身、
こういった仕事をしていながら、
この主張には100%大賛成なんですよね。
こちらの本が示してくれるように
本来なら経営者の方が自ら語り、
自分の言葉を届けることができればそれが一番。
なぜなら、
経営者の方には、
例)
・社員やスタッフへのビジョンの表明
・ステークホルダーへの説明
・クライアントさんへのプレゼン
・採用時の求職者との面接
・SNSなどのメッセージ伝達
といったように
自分の願いや意志(意思)・想いを言語化して
自らの言葉を使うことが求められる場面が
山ほどあるからです。
そのとき、相手に届くのは
(こちらの本の言葉を借りるなら)
「体重」が載ったメッセージだから。
他の誰でもなく、
その人自身にしか表すことができない
言葉に載った「体重」。
その人自身の生き方や価値観、在り方が
如実に現れる「体重」というところに
意味があるのだと私は思います。
借りてきた言葉で無理やり着飾って、
お化粧し、増量マシマシにされた言葉が
聞きたいのではなく、
いびつでも不格好でも、
その人自身の「体重」が載った言葉が聞きたい。
そういった理由から、
絶対に経営者の方がご自身で
できるようになった方がいいと心から思います。
ただ、現場でみていると
たとえばSNSの情報発信を経営者ご自身が
実際にパソコンを開いてキーボードをたたき、
世の中に発信するところまで持っていくのは
なかなかにハードルが高そうだな
という感触があるのも事実です。
そこで、必要になってくるのが、
この本の著者の方が実践しておられる
経営者の隣でその言葉を届ける
「顧問編集者」
というポジションです。
パッと見、
会社の広報的なポジションと
似ているように思えますが、
そのキモは、経営者の言葉を
「コンテンツ」として届けること。
経営者の言葉を
「情報」として届けるのではない、
ということです。
「コンテンツ」と「情報」。
本書の中ではこの違いを
こんなふうに説明しておられます。
画像出典:社長の言葉はなぜ届かないのか? 経営者のための情報発信入門 p.97
コンテンツは
「何かしら心が動くもの」
経営者の言葉を
「コンテンツ」として届ける。
経営者の情熱や想いのこもった「言葉」を
読み手が「面白い!」「役に立つ!」と
受け取りやすい「コンテンツ」にして届ける。
たとえば、
サイトやSNSの文脈で言うなら
外形的にはテキストを載せる、ですが、
「情報」と「コンテンツ」が
天と地ほどに違うことは、
ライターやコンサルな方であれば、
なんとなく肌感覚があるのではないでしょうか?
経営者の「体重」を載せたまま、
「コンテンツ」として届けるために
どうしたらいいか?
この本にはそのやり方と考え方が
バッチリ書いてありました。
さらに、
経営者の方からお話を引き出す
具体的な手法や心構えもガッツリあります。
(巻末付録 棚卸しのための100の質問)
そんな中で今回、
私の一番の推しポイントは、
「余計なことはするな」です。
画像出典:社長の言葉はなぜ届かないのか? 経営者のための情報発信入門 p.234
———————–
取材さえきちんとできていれば、いいコンテンツは生み出せます。よって、その後のプロセスで大切なのは、「余計なことをしない」ということになります。
引用:社長の言葉はなぜ届かないのか? 経営者のための情報発信入門 p.234
———————–
著者の方が
編集者の方でいらっしゃいますので、
編集を “する” 方法が載っているのは
自然の流れではありますが、
その逆、
編集をしない、してはいけない
というアプローチがシビレますね。
インタビュー内容や原稿の編集というと
キレイに書き換えたり、手を加えたりするのが
“当たり前” に思ったりしますが、それに対して
「余計なことはするな」
ですから。
そして、これ
首がもげるほどうなずいた部分でもあります。
といいますのは、
私自身、講座やコンサルの現場で
ネット広告のコピーやLP作成・改善を
お伝えする際に
「ユーザーさんの声や
お客さんの発した言葉は
変換せずにそのまま使ってください!」
とお伝えるすることが多いからです。
たとえば、
ユーザーさんが
「エモい」という言葉を使っていたら
それを「感動した」と変換せずに
「エモい」のまま使う。
ユーザーさんが
「界隈」という言葉を使っていたら
それを「コミュニティ」と変換せずに
「界隈」のまま使う。
話し言葉 を 書き言葉 にする際に
変換したほうが読みやすい、
理解しやすいのでは?と思う一方で、
変換せずに
そのまま「エモい」「界隈」を使う方が、
届けたい相手、見込み顧客に
届く言葉になりやすいのです。
編集をしない、を始めとする
編集というチカラ。
この編集のチカラは
もっともっと評価されていい、
否、評価されるべきだと強く強く思います。
「コンテンツ」というと
書くことに目が行きがちですが、
実は大事なのは書く “前” と “後” を含めた全体。
経営者の「体重」が載った言葉を
そのまま届けつつ、
読み手が「面白い!」「役に立つ!」と
受け取りやすい「コンテンツ」を見極める目。
ライターとして、
どう読ませ、伝えるべきか?
コンサルとして、
どのメッセージに注視させるべきか?
経営者の「体重」が載った言葉を活かしながら
「コンテンツ」として見極めるこの部分。
そこには、
ライターやコンサルとしての
チカラが求められるのかと。
といいますのは、
ライター、コンサルは
会社を外側から見ることができる立ち位置にいます。
それに加えて、
経営者の隣りにいる
右腕・参謀ポジションでもあり、
会社が進む方向性や人材、セールス、
マーケティングなどの内情を理解するなど、
内側に入り込む立場でもあります。
内からも外からも
大局的に見ることができる。
であれば、
大局の中に位置する
局所戦の「コンテンツ」では、
経営者のどの言葉を伝えるべきか?
を主観的・客観的の両軸を行き来しながら
判断するのに適任。
そういった
バランス感覚を持っているからこそ、
唯一無二で代わりのいない存在になれる。
そんな編集のチカラ。
ライター、コンサルとして
今持っているスキルに加えてみたいとお考えなら
ぜひこちらの本、お手にとってみてください。
「コンテンツ」力が
求められるこれから先の未来。
経営者の方をサポートするあなたのチカラを
きっとパワーアップさせてくれること
間違いなしです!
P.S.
今回の本は、著者の方が本書内で
ページの写真を撮るなどして広めることを歓迎
(ただし、購入済みのものに限る)
とおっしゃっていましたので、
ありがたく使わせていただきました。