From:桜井啓太
恵比寿のオフィスより
僕は前職が塾講師です。今やっているセールスライティングと関係があるかといえば、直接の関係はありません。
ただし!「セールスライターになりたいです」という人の中には、「今、塾関係の仕事をしています」という人がけっこういるんです。具体的には5名ほどでしょうか…。
「業種」というくくりで考えたら星の数ほど仕事がある中で、僕の周りだけですでに5名もいるというのは突出した数字です。学生時代にアルバイトをした経験もある人を含めれば、人数はもっと増えるかもしれません。
自分も同じでしたので、色々と考えてみました。
- なぜ塾講師はセールスライターになりたがるのか?
- なぜ塾講師はセールスライターになるべきなのか?
- 塾講師がセールスライターになる上で気をつけるべき点は?
バイト含め、塾講師を15年やり、今はセールスライターをやっている僕だからこその視点で書いてみたいと思います。
なぜ塾講師はセールスライターになりたがるのか
塾講師をやっている人って、こう言っちゃなんですが割と「普通のキャリアの人」はいないと思うんです。
大学生時代のアルバイトで多い職業なのですが、「そのままバイト先に就職する」というパターンの人も多いです。
自分もそうだからあえて悪くいいますが、「大学にあまり真面目に通っていない」「就職活動が上手く行かなかった」という理由で塾講師になった人、僕の他にいませんか?
高校時代にバイトしていた喫茶店で、バイトリーダーが大学卒業後にその喫茶店に就職したのを見て、心の奥ではバカにしたものです。なぜなら、バイト先はおこづかいを稼ぐ場所であり、一生を捧げるキャリアとしての価値はないように思えたからです。
でも自分が同じような道を歩むわけですから、どんな仕事もバカにできないものです。
俺の人生はこんなもんじゃない…
そんなキャリアのスタートをしてしまったからこそ、「塾講師としてのキャリア」に納得している人ばかりではないのでしょう。事実、厚生労働省の統計によると、新卒入社3年以降の教育業の離職率は45%以上。
学校の先生もここに含まれていると考えると、あっちはそんなに離職率が高くなさそうですから、塾だけなら50%を越えていそうですよね。
これより離職率が高いのは、飲食・宿泊業しかありません。一番離職率が低いインフラ系が10%未満であることを考えると、天国と地獄です。
だから、塾講師をやっている人で、納得してやっている人は少ないんだろうと推測されます。僕はどちらかというと「教える仕事が天職」ということは間違いなく思っていましたが、それでも辞めましたからね。
だから、セールスライターとしての理想の暮らしがとても魅力的に映るのではないでしょうか。セールスライターは一発逆転をするにはこれ以上ない仕事のように見えますから…。
なぜ塾講師はセールスライターに向いているのか
暗い話ばかりではありません。塾講師がセールスライターをやる上で、とても役立つスキルがあるんです。
それは「相手に合わせて分かりやすく説明する」という能力です。
塾講師にとってわかりやすさは生命線です。この力がない人は、そもそもキャリアとして塾講師を選んでいないと思いますので。
このスキルが効果的である理由が2つ。
相手の目線に立って話を展開することがセールスライティングの中心的スキルだから
「ペルソナ」「ターゲット」といった言葉あるように、マーケティングでは「誰に」メッセージを送るかがとても重要です。相手が変わればメッセージも変わる。常に相手を意識して、同じことをいうのにも言い方を変えるというスキルを、ちょうど塾講師は持っています。
因数分解を教えるにしても、VS中学生とVS高校生では話がぜんぜん違います。相手の計算力や、「何のために因数分解を使うか」などでも教え方は変わります。
たぶん塾講師に慣れた方なら無意識にやっているようなことだと思いますが、実はこれは非常に「セールスライター向け」の能力だと考えられます。僕もこの考えかたが染み付いているせいか、日頃のライティングではこの点にはあまり苦労しません。
セールスライターも「プレゼン」が必要な時代になったから
もう1つの理由は、「人前で話す力」があることです。集団授業をやっている先生なら最高ですが、個別指導だけしかやったことのない人でも、考え方を変えれば困ることはありません。
この背景には、「動画の流行」があります。あなたのメールボックスに届く販売プロモーションも、その多くが「まず動画につなげて、それからセールスページを見せる」というステップを踏んでいることと思います。
動画では、講師のような人が出てきて、セミナーやプレゼンをしています。
そうなんです。いくら「セールスライティングは重要」と言っても、言葉の使い方は文字だけではありません。むしろ最近はスマホや動画の発達のせいで、インターネットユーザーの集中力がますます落ちてきていると言われています。
Microsoftによる2015年の調査によると、現代人の集中力はわずか8秒。金魚が9秒だというので、もはや魚以下だそうです。
「自分で調べる」はおろか、「調べた結果を記事にして読んでもらう」ことすらできなくなりつつあるわけです。情報が目や耳に流れ込んでくるままに、ボケっと頭を空っぽにして視聴したい。ユーザーのニーズはその程度だというわけです。
だとしたら「分かりやすくしゃべることができる」という塾講師の能力はマーケティング向きと言えるでしょう。ちなみに「分かりやすく」とはいっても、事前準備ができるので安心です。事前にスクリプトを「書いて」おけばいいわけです。
僕たちはあくまでセールス「ライター」なのですから。
塾講師がセールスライターになる上で気をつけるべき点は?
一方で、塾講師ならではの考え方から脱却しなくてはいけないこともあります。
それは「教えてやる」というマインドです。
塾講師に求められるスキルとして、時には「無理やりやらせる」ことも必要です。スポンサーである保護者がそれを望む場合です。もちろん、愛をもって「叱る」ということもあるでしょう。
しかし時として、「生徒より上の立場にいる」ということ自体に快感を覚えてしまう場面もあります。大学でも、社会でも上手くいかなかったような人間でも、いったん講師になって子どもの前に経てば、「先生」と呼ばれて慕われる、頼られる。これは快感です。
だからといって「相手よりも偉い」「子どもよりも上の立場にいる」と勘違いしてはいけません。ただ、塾講師に限らず「先生」と呼ばれる立場の人は、往々にして勘違いしがちであることは間違いないでしょう。
セールスライティングは相手を操作するスキルではない
セールスライターが最もやってはいけないことは、「相手を操作しようとする」ことです。なぜなら、セールスライティングは「価値を正しく伝え、ターゲットに『自分の意志で』購買活動をしてもらう」ことであり、「騙して売りさばく」というスキルではありません。
ダン・ケネディの言うように、「(あたかも)自分の意志で行動を起こしたと感じられなければ、人は本当の意味では変われない」のです。
「売りつけてやる」「言うことを聞かせてやる」というセールスコピーは、例え読み手が意識しないとしても「気持ちの悪い」文章になってしまいます。その場では多少売上が出たとしても、売り続けることは難しいセールスレターです。最終的にはきっとセールスライターとしても困ってしまうことが起きるでしょう。
まとめ
今回は僕の前職である塾講師という視点から、セールスライターの適性を考えてみました。
塾講師に限らず、「前職が何だったか」というのはセールスライターとして個性を出すために重要なのではないかと思います。何にしても過去の経験が必ず活きてくる仕事、それがセールスライターだと思うからです。
ちなみにウチの養成組織に、21歳の女子大生がいます。彼女は若くしてセールスライティングに巡り会ったわけで、少しうらやましい気もします。こんなスキルを若い頃から鍛えることができたら、今の自分の年齢になる頃にはきっとすごいんだろうな、とか。
でも、彼女は彼女で苦労すると思います。何にかというと、「人生経験を積む」というところです。だから40、50のオジサンオバサンも、決して若い子には負けませんってことですよ。
PS
どんな職業からでもセールスライターになることは可能です。セールスライターの始め方はこちら。