2024/08/14

それは本当に効果がないのか?

From 古川馨

以前、店舗運営をしていた頃の話。

僕はもともとメガネチェーンで
エリアマネージャーとして
店舗の運営と統括をしていたのですが

店長会議などでよく飛び交っていた
言葉があります。

それは店舗の現場から
よく出てくる言葉なのですが、
それを実行すると大抵の場合、
集客力が落ちて長期的に
しんどい状況に陥るものがあります。

しかも、それは
ダイレクトマーケティングを
学んだ人がよく陥りやすい
罠でもあるんです。

それが何かというと…

チラシは効果がないから
配布回数を減らそう

というもの。

店舗系の場合、毎週末や連休などに合わせて
月に4~5回チラシを打つのが多いと思います。

ですが、毎週チラシを打ったからといって
それでお客さんがごっそりくるわけでは
当然ありません。

そのため…

今週のチラシはハズレだった…
また、お客さん来ない…
毎回同じチラシ出したってくるはずがない…
飽きられているんだ…

と思ってしまうこともしばしば。

毎週チラシを打つってことは
結構なコストがかかるので

当たらないならいっそコスト削減で
チラシの配布回数を半分にしよう。とか
ネット広告に切り替えようとか。
もうネット広告だけでいいんじゃない?
とか。

とにかく、
巻いても来ないんだから無駄だ
と感じてしまいます。

僕も現場に入っていたので
その考えはよく分かります。

週によっては費用対効果が
全く合わない時もありますからね。
(チラシを入れるときは人員も厚くするので)

そのため、よく会議でも

チラシはオワコンだ
回数を減らしてくれ
ネット集客だけでいい

といった声が飛び交っていました。

そして、実際に実験的にチラシをやめて
ネット集客だけに変える店舗もありました。

その結果はというと…

当初はチラシを打っても打たなくても
集客数はほとんど変わらない
という状況が続いたりします。

なので、
「やっぱり効果ないじゃん」
ということで

チラシの回数を減らす方向で進んでいく。

すると、
数ヶ月後になぜか客足が一気に減る。
客数がどんどん減っていく。
理由はわからないけど新規が増えない。

そんな事態に陥ったんですね。

そのお店の評判が良くなかったのでは?
と思うかもしれませんが、

実験的にチラシの回数を減らしたところは
軒並み集客力が落ちていく傾向が見られました。

なので、少なくとも減客の原因の一つとして
チラシの配布回数を減らしたことが
あると考えられます。

なぜなのか?

どうして、効果を感じなかったチラシの
配布回数を減らしたことが減客につながるのか?
不思議ですよね。

ですが、実は答えはシンプルです。

なぜなら
「顧客は忘れるもの」
だからです。

見込み客を含め、人間は忘れる生き物です。
いつまでも僕たちのお店のことを覚えていません。

あるお店が地域からなくなったとしても
「あれ、ここ何のお店だっけ?」
とそこに何があったのかわからないことなんて
日常茶飯事です。

それに物理的に忘れる
ってことだけではありません。

何かを買おうと思った時に
そのお店を思い出してもらえないことが問題です。

例えば、
パソコンの調子が悪くなった時に
真っ先にどこで買うことを考えるのか?

地域の電気屋に足を運ぶのか?
それともAmazonや楽天にアクセスするのか?

メガネの買い替えようと考えた時に

大手チェーン店が真っ先に思い浮かぶのか?
それとも地元の商店街のお店か?
あるいは街中のコンセプトショップなのか?

無意識に購入先や検討するお店が
思い浮かぶはずなんです。

そして、それは普段から接触回数が
多い店舗のはずです。

この時に頭に思い浮かばない店舗は
購入先の候補から外れます。

毎週チラシが入っていて
そのときは購入のタイミングじゃなかったから
スルーしていたとしても

タイミングが来た時に
「あ、そういえばチラシ入ってたよな…」
と思い出せば、

「じゃあ、あのお店ちょっと見てみるか」
となります。

接触回数が多ければ多いほど、
意識に昇る可能性が高くなるんです。
それは来店可能性を高めます。

繰り返しの記憶は意外と定着します。
即効性はないものの長期的に、
そして、彼らが必要になったタイミングで
思い出してくれるリマインドとして機能します。

侮れません。

地域の店舗集客において
もっとも重要なのは、存在を知られること
存在を覚えていてもらうこと。
そして、〇〇を買うなら、〇〇店だよなと
意識してもらうことです。

直接的な効果が見込めないと
ついつい
「効果がないから辞めよう」
と思ってしまいがちですが

仮にその施策が効果があるように
見えなかったとしても

お店の存在を覚えていてもらう
リマインド装置として機能しているなら

それは辞める施策ではありません。

なので、もし、何か店舗集客の施策をしていて
「これって効果があるのか?」
と疑問に思ったときは

それが
「リマインド装置として機能しているのか」
を検証してみるといいですよ。